【オネエの映画レビュー】『ロケットマン』と『ボヘミアン・ラプソディ』の違いとは!? ドキドキしたのはあのシーン

連載・コラム

[2019/9/2 12:00]

だけどそれは製作総指揮のエルトン姐さんが悪いわけでも、監督や脚本が悪いわけでもない。世界から注目を浴びるスターでなくとも、1960年〜1970年代当時なら一般の生活を送るゲイ男性の多くがエルトン姐さんと同じように己のセクシュアリティが原因で悩み、人間関係においていろんな軋轢を生んだに違いない。

現代においても世界中に悩めるセクシュアルマイノリティの人間が多いのだから、今よりもっと同性愛嫌悪の強かった当時は日々の生活をサバイブするのにどれだけの気苦労をし、涙を流してきたのか、エルトン姐さんやフレディ・マーキュリーの映画は約2時間の間に教えてくれるの。

『ボヘミアン・ラプソディ』よりもドキドキしたのは……

さらにふたつの映画に共通する点としては、どちらも最初から最後まで主役の孤独を描いているところ。「愛されたい……」と切望する孤独感は、セクシュアルマイノリティではない人も共感できる普遍的なものであるだろうけど、音楽や芸術面においては、その孤独や闇が深いほど才能を爆発させる起爆剤になりうるのだと納得しちゃった。女装してショーをするドラァグクイーンたちも、日々生きがたさを抱えている人ほど観客の心を揺さぶるような素晴らしいショーをするもんな〜(笑)。

あ! 逆に『ボヘミアン・ラプソディ』よりも『ロケットマン』が優れている点を挙げるとすれば、ゲイの登場人物が多くて、性的描写も多いところかも!

エルトン姐さんのマネージャーを務めたジョンは、とっても姑息で憎ったらしい男なのだけど、見目麗しい美男子。そんなジョンの濡れ場や、ジョンが部下の男に奉仕させてるシーンはすっごいドキッとしちゃったわ〜。

これは絶対に製作総指揮のエルトン姐さんからの「いけめんずラブ」サービスだったに違いない! ありがとう、エルトン姐さん!

アロム奈美江

ゲイをテーマにした電子書籍ライター、ゲイ雑誌『Badi』編集者を経て、2009年にドラァグクイーンデビュー。プライベートでは、30歳から女性ホルモン投与を始め、ゲイからトランスジェンダーの領域へ転向。現在は、流しの女装パフォーマー、ホステス、MC、イベントオーガナイザーとして節操なく小銭を稼いでいる。