「絵になる」とはまさにことのこと/エリック・クラプトン『バックレス』 平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)連載
音楽と絵画を愛するお笑い芸人・平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)が美術館の館長となり、自身が所持する数々のCDジャケットのなかから絵画的に見て優れているもの、時に珍しいものをご紹介する連載。
第16回:「絵になる」とはまさにことのこと/エリック・クラプトン『バックレス』
今回ご紹介するのはこちら。
エリック・クラプトン『バックレス』(1978年)
ジミー・ペイジ、ジェフ・ベック、そしてエリック・クラプトン。いわゆる「3大ギタリスト」と言われている人たちである。しかしそのなかでも、一般層にまでその名が浸透しているという意味ではやはりエリック・クラプトンが頭ひとつ抜けているだろう。もはやキャリア50年を越える大ベテランでありながらいまだに現役を貫いており、同期のローリング・ストーンズなどと肩を並べるスーパーハリキリおじいちゃんである。
『バックレス』は1960年代にクリームやデレク・アンド・ザ・ドミノスといった数々の伝説的なバンドで名演を残したクラプトンが1970年代に入りソロ活動に専念するようになってから、それまでの情熱的なギタープレイとは打って変わり、レイドバックしたスタイルのいい意味で落ち着いたロックをやるようになってからの作品。この時代のクラプトンもこれはこれで渋みのある味わい深いギターを聴かせてくれている。
特に同作は内容もさることながらジャケットがいい。暖色の照明の薄明かりのなかソファに座りリラックスした雰囲気でギターを奏でるクラプトン。静かな部屋に美しく鳴り響くギターの音色がこちらにまで聴こえてくるようである。絵になる、とはまさにこのことだ。またブラウンの枠にアーティスト名とタイトルのゴールド文字がいっそうアダルトな雰囲気を醸し出しており、その音楽性とも見事に調和している。
それに個人的に思うのは、この時代のクラプトンは同じ男から見てもルックスが最高にかっこいいと思う。もともと顔面は綺麗に整理整頓されたイケメンではあるが、髪の量といいヒゲの量といいファッションといい、僕が理想とする男のルックスに限りなく近いのがこの時期のクラプトンなのである。実際この時代はウエスタン、カウボーイスタイルのファッションがロック界でもよく見られ、僕も古いロック好きとしてそんなファッションに憧れそれに近い服装を普段からしているのだが、男子はともかくどうも女子ウケが悪い。女子からするとむさ苦しく感じるのか、はたまたおっさん臭く見えてしまうのか評価はいまいち芳しくないようだ。
(心の中だけでばれないようにこっそり言わせてもらおう。やい女ども! おめえらなんにもわかっちゃいねえ!! ウエスタンスタイルのあのリラックスした雰囲気!! 土の香りすら漂ってきそうな温かみ!! その服装だけで広大な背景の自然すら目に見えてきそうな存在感!! このコンクリートジャングルTOKIOにおいてウエスタンファッションとはまさに1滴の清涼剤!! 癒しの服装であることを知れい!!! そしてできることならみんなもっと和服を着ろい!! 好きだから!!)
まあ女性からの評価が芳しくないのは仕方ないよね。男がかっこいいと思うものと女性の好みはまた別だし。
あれだね。よく脱線するよね。この連載。