黄色と赤と青と緑でシャッ!てされても……/ハロウィン『カメレオン』 平井“ファラオ”光連載
音楽と絵画を愛するお笑い芸人・平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)が美術館の館長となり、自身が所持する数々のCDジャケットのなかから絵画的に見て優れているもの、時に珍しいものをご紹介する連載。
第18回(番外編):黄色と赤と青と緑でシャッ!てされても……/ハロウィン『カメレオン』
さて、今回もいつもの主旨とは逆にヒドすぎるジャケットをご紹介したいと思う。
ハロウィン『カメレオン』(1993年)
まあひと言で言うと、もっとなんかなかったの?ということになる。タイトルが『カメレオン』だからってのはわかるけど、黄色と赤と青と緑でシャッ!てされても……。そもそもこのバンド、ジャーマンメタルの代表格にして「メロディックパワーメタル」という言葉が生まれたきっかけにもなった偉大なバンドである。現在においてもスピードメタルをやっている人たちでハロウィンの影響を受けていない者など存在しないと言ってもいいぐらいのメタル界の超大物バンドだ。
同作はハロウィンの数あるアルバムのなかでも最大の問題作にして失敗作、とまで言われている。その要因のひとつはメンバー間の確執。ボーカリストのマイケル・キスクとほかのメンバーとの間でゴタゴタがあったようで、やはりそういう時期に製作されるアルバムというのはどこのバンドでも中途半端な作品が生まれやすい。その後結局天才とまで称されたボーカリスト、マイケル・キスクはこの「黄色と赤と青と緑でシャッ!」を最後にハロウィンをシャッ!と脱退してしまうのである。
そしてもうひとつの理由はそれまでのジャーマンメタル然としたハロウィンの音楽性とはうって変わり、ポップロック志向にシャッ!と舵を切ってしまったこと。同じメンバーでカイ・ハンセンというジャーマンメタルの良心的存在が1989年にバンドをスィッ!と脱退したことでキスクのポップ趣味がグワッ!と前面に出るようになりこうなってしまったわけだが、こういった急な路線変更も一定以上のクオリティをタモッ!てさえいれば認められるもので、実際成功例も少なくない。しかしやはりこの「黄色と赤と青と緑でシャッ!」に関してはハロウィンという名前の持つハードルの高さを考えれば半端な作品とイワッ!ざるをエナッ!い。しかもそれでいてやたらトータル時間が長いのだ(何と70分越え)。CDだからって調子に乗っているのである。まあいい曲も入ってはいるのダガッ!
さあそこへ来てこのジャケットである。もっとなんかなかったの? 正直ハロウィンのアルバムジャケットはほかにもダサいものが多い。しかしそのダサさというのはある種のジャーマンメタルの美学でもある。ただこのアルバムはその“様式美的ダサさ”にすら達していない。いくらポップ路線に走ったとは言っても黄色と赤と青と緑でシャッ!はないと思う。黄色と赤と青と緑でシャッ!は。
つまり結局作品の質と相まって手抜きに見えちゃうのである。ただ一応言っておくとほかのハロウィンのアルバムはほとんど駄作なしの素晴らしいものばかりである。しかもわかりやすいのでヘヴィメタル入門者にも安心してお勧めできるバンドだ。知らない人はよかったら聴いてみてね。
ではまた来週。
シャッ!