決してメタル入門者向けではないのでご注意!〜ラウドネス『ラウドネス』〜平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)連載
音楽と絵画を愛するお笑い芸人・平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)が美術館の館長となり、自身が所持する数々のCDジャケットのなかから絵画的に見て優れているもの、時に珍しいものをご紹介する連載。
第38回:決してメタル入門者向けではないのでご注意!
今回ご紹介するのはこちら。
ラウドネス『ラウドネス』(1992年)
和製ヘヴィメタルバンドといえばまずこのラウドネスの名前をあげる人は多いことだろう。かつてアルバムを全米ビルボードチャートで100位圏内まで食い込ませた、最も世界的に成功を収めた日本のヘヴィメタルバンドである(BABYMETALが登場するまでは)。メンバーチェンジは激しいものの、各パートにそれぞれカリスマ的なプレイヤーが多く、まさに“世界で戦える日本人バンド”の代表格と言える存在でもある。
ただ下手な外国人バンドよりも見た目が強面なので、個人的には怖い。怒られたら多分僕は漏らすだろう。
そんな彼らの長いキャリアのなかで、音楽性的にも特異な時期でありながら全盛期との声も多いのがこのアルバム『ラウドネス』の時期である。メンバー的には第3期に当たる時期で、ボーカルに元E・Z・Oの山田雅樹、ベースに元Xの沢田泰司が加入して話題となった。当時ヘヴィメタルの世界では、パンテラの登場によりスラッシュメタルを進化させたようなサウンドのバンドが次々と現れたが、ラウドネスもその時流に乗ってヘヴィでグルーヴィなサウンドを展開するようになり、それは以前までの彼ららしいサウンドとは一線を画すものではあった。そして内容の充実ぶりでファンを満足させ、結果、彼らのアルバムのなかでは最高の売り上げを叩き出すことになった。
ただ下手な外国人バンドよりも見た目が強面なので、個人的には怖い。怒られたら多分僕は漏らすだろう。
この混沌としたジャケットも相当なインパクトがある。こちらは日本のさまざまなアーティストからサンタナのジャケットに至るまで幅広く活躍しているグラフィックデザイナーの横尾忠則によるデザインで、メタルバンドであるラウドネスとの共演は少々異色のコラボレーションといえる。
ミケランジェロの引用かとも思う人物とロマネスク調の建築のコラージュ。これだけで充分混沌としているのに、さらに隠し要素として別の視点で見ると人物と文字が浮かび上がってくるという仕掛けまで施されている。見たところ人物像は何となくわかるのだが、文字がいまいち把握できない。「3」と見える部分があるのだが、どういうことだろうか。3回もやってしまったのだろうか。3日もかかるのか? 3年生になったのか? 難解なジャケットだ。
ただ下手な外国人バンドよりも見た目が強面なので、個人的には怖い。怒られたら多分僕は漏らすだろう。
テクニックもクオリティも日本最高峰のメタルアルバムである。しかしジャケットも重ければサウンドも重い。決してメタル入門者向けではないのでご注意を。
僕は漏らすだろう。