とても普通である。そう、とっても普通である。〜バッド・カンパニー『バッド・カンパニー』〜平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)連載
音楽と絵画を愛するお笑い芸人・平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)が美術館の館長となり、自身が所持する数々のCDジャケットのなかから絵画的に見て優れているもの、時に珍しいものをご紹介する連載。
番外編(第73回):とても普通である。そう、とっても普通である。
なぜだろう。月に一度しか来ないはずなのに感覚的にはいいジャケットと同じくらいヒドいジャケットも紹介している気がする。ビックリするくらい誰も得しないこのコーナーに対する後ろめたい気持ちがそうさせているのだろうか。
まあいいや。
バッド・カンパニー『バッド・カンパニー』(1974年)
ヒドすぎるジャケット紹介、今回はバッド・カンパニーである。同作は彼らのデビューアルバムで、全米1位を取るほどの大ヒットとなったが、もともと母体となったのは1960年代後半にイギリスでデビューしたブルースロックバンド、フリーである。フリーはデビュー当時まだ20歳前後の若者たちからなるバンドであったが、若者らしからぬ渋味のあるサウンドとグルーヴ感、そしてどこか重々しく陰鬱な空気感がほかにはない独特の個性を放っていて、本国イギリスや日本で大人気のバンドであった。個人的にもクラシックロックバンドのなかではトップレベルで好きなバンドであり、なかでもボーカルのポール・ロジャース、ギターのポール・コゾフはプレイヤーとしても僕のなかで上位に入るほどの名手である。
そんなフリーがメンバー間のゴタゴタ(よくあるやつ)により解散し、ポール・ロジャースとドラムのサイモン・カーク、それに元モット・ザ・フープルのギタリストであるミック・ラルフスと元キング・クリムゾンのベーシストであるボズ・バレルを加えて結成したのがバッド・カンパニー。いわゆるスーパーバンドというやつである。(次ページへ)