本作を無視するなどという、男の道を外れるようなマネはできない〜ドニー・フリッツ『プローン・トゥ・リーン』〜平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)連載
[2020/2/12 12:00]
そしてその音楽性はまさに“アメリカ南部ロックの真髄”。人間味を感じる温もりのあるサウンド、老人のような深みのある歌声、哀愁とユーモアをあわせもつ歌詞の世界。きっと1970年代のエリック・クラプトンなどが好きな人なら間違いなく気に入るであろう良質のスワンプロックを聴かせてくれる。ジャケットからにじみ出る空気感そのままの音世界である。
アラバマで生まれ、そもそもはカントリーロック歌手のクリス・クリストファーソンのバンドでキーボードを務めていたドニー。生涯を通して数多くの楽曲を制作し、また俳優として映画などの出演経験も多い。『プローン・トゥ・リーン』はそんなドニーのソロ歌手としてのデビューアルバムにあたる。日本でも本国アメリカでも大きな成功は手に入れられなかったようだが、あのキース・リチャーズやレイ・チャールズまでもが彼の楽曲をカバーしたことがあるというのだから、その実力は間違いなく本物。そんな彼も去年76歳でこの世を去っていたようだ。残念ながら彼もまた歴史のなかで過小評価されてしまっているアーティストのひとりであった。
とにもかくにも僕の理想の男像はこのジャケットにいるので、僕はこんな男を目指します。サンリオにハスハスしてる場合じゃねえってか?
それはまた別の話です。