本作を無視するなどという、男の道を外れるようなマネはできない〜ドニー・フリッツ『プローン・トゥ・リーン』〜平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)連載
[2020/2/12 12:00]
音楽と絵画を愛するお笑い芸人・平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)が美術館の館長となり、自身が所持する数々のCDジャケットのなかから絵画的に見て優れているもの、時に珍しいものをご紹介する連載。
第79回:本作を無視するなどという、男の道を外れるようなマネはできない
今回ご紹介するのはこちら。
ドニー・フリッツ『プローン・トゥ・リーン』(1974年)
あんまよく知らない。
実際かなり深いところまでロックを追究しているくらいのファンでもなければ知る機会はそうそうない人だと思う。では僕はどうやって彼を知ったのかというと、ほかでもなくジャケ買いをしたからである。お店でたまたまこのアルバムを手に取ったとき僕は一発でジャケットに魅了された。
西部風の荒れた感じの街の一角でどこか物憂げに煙草をふかすウエスタンファッションに身を包んだヒゲ面の男。セピア調で統一された写真から伝わる男の哀愁や孤独感。僕が憧れる理想の男像を完璧に具現化した姿がそこにはあった。そこへきて帯の宣伝文句で「アメリカ南部ロックの真髄!」などと書いてあるものだから僕にとってはもはや強迫である。これを無視するなどという、男の道を外れるようなマネはとてもできない。(次ページへ)