音楽、ルックス、ジャケットまで徹底的に世界観を作り込んだバンド~ゴースト『Meliora』~平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)連載
[2020/3/11 12:00]
悪魔的な見た目からやばい思想をもった連中なのではないかと思うかもしれないが、あくまでもパフォーマンスであるということはトビアス本人も認めている。事実、彼らの音楽を聴くとその見た目どおりの毒々しさや陰鬱さのなかに意外なほど馴染みやすいポップ性も兼ね備えているのがわかる。そしてそれこそが彼らの独自性というか、一筋縄ではいかない肝の部分になっている気がする。
ゴシックメタルやブラックメタル、ドゥームメタル的要素をもちながら、1960年~1970年代を彷彿とさせるようなキャッチーなメロディとクセの少ない歌唱と演奏。これによりアンダーグラウンドな存在に止まらず商業的にも大きな成功を手に入れられる可能性を秘めたバンドだと思うのである。
そしてジャケットがまた音楽に負けず劣らずの力の入れようで、誰の手によるものかは橋山メイデン(童貞)にCDを返してしまったので忘れてしまったが、非常に高い画力で、表紙のみでなくブックレットのページごとに巨大都市が細部まで描き込まれており、ひとつの優れた画集としても楽しめるくらいのクオリティを誇っている。
そんな音楽からルックス、ジャケットに至るまで徹底的に世界観を作り込んだバンドが2017年に金銭の問題によりメンバー同士でモメまくっていたらしい。
何というか、とっても人間味のあるエピソードですね。