内容的にもジャケット的にも初作に及ばなかった爆撃機さん~ヴァン・ヘイレン『伝説の爆撃機』~平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)連載
音楽と絵画を愛するお笑い芸人・平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)が美術館の館長となり、自身が所持する数々のCDジャケットのなかから絵画的に見て優れているもの、時に珍しいものをご紹介する連載。
番外編~残念なジャケット~(第98回):内容的にもジャケット的にも初作に及ばなかった爆撃機さん
今回ご紹介するのはこちら。
ヴァン・ヘイレン『伝説の爆撃機(原題:Van Halen II)』(1979年)
え?もう最終水曜日? 何だか最近本当に時が経つのが早い気がする。1ヵ月の間に最終水曜日が3回くらい来てないか?
というわけで今回もはりきって悪口を書こう。
このコーナーでは2回目の登場となるヴァン・ヘイレン。まあ彼らのジャケットセンスも全体的にそこそこ終わってるところがあるので必然的にそうなっちゃうよね。
『伝説の爆撃機』は彼らのセカンドアルバムに当たり、内容的にはエディ・ヴァン・ヘイレンの革新的なギタープレイを中心に世に衝撃を与えたあのファーストアルバムの延長線上にあるストレートなロックンロールアルバムだ。
ただ世間的な評価は高いが個人的にはどうにもこじんまりとした印象のまま飽きてしまったアルバムである。まあファーストアルバムは間違いなくハードロック界最強のデビューアルバムのひとつに数えられるレベルだと思うので、続けて聴いたゆえにかなりハードルが上がっていたというのもあるかもしれない。
ジャケットもファーストアルバムではまるでライブアルバムのようなデザインで、裏ジャケットの“ダイヤモンド・デイヴ”ことデイヴィッド・リー・ロスの仰け反りといいなかなかにインパクトのあるジャケットだったのだが、こちらではただただ普通にバンドロゴを中央に据えただけのシンプルすぎるデザインとなっている。あまりにもシンプルすぎてアイデアも何も感じられないし、ヴァン・ヘイレンというバンドの華やかなイメージを考えるとこれではやはり物足りなさを感じてしまう。裏ジャケットでは相変わらず派手なアクションをしているメンバーたちの写真があしらわれているのだが、むしろそっちを表に持ってきた方が一瞬でヴァン・ヘイレンらしさが伝わるしよかったのではないかと思う。
セカンドアルバムはアーティストにとって鬼門というが、内容的にもジャケット的にもファーストアルバムのインパクトには及ばなかった印象の爆撃機さんでした。
イングヴェイ・マルムスティーンに続き彼らも今後の最終水曜日常連候補かもしれない。