これぞ緊張の緩和である〜B'z『BIG MACHINE』〜平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)連載
音楽と絵画を愛するお笑い芸人・平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)が美術館の館長となり、自身が所持する数々のCDジャケットのなかから絵画的に見て優れているもの、時に珍しいものをご紹介する連載。
第152回:これぞ緊張の緩和である
B'zのアルバムで番外編にもっていきたいやつもけっこうあるけどまだその勇気が湧きません。ビリビリビビってます。
B'z『BIG MACHINE』(2003年)
というわけで今回は彼らの活動15周年に発売されたアルバム『BIG MACHINE』を。個人的には1990年代後半以降のかなり攻めたハードロック期を過ぎて、前作『GREEN』で一気に大衆に優しくなったあとのアルバムということで、適度なハードさと適度なポップさを兼ね備えた非常にバランスのいいアルバムという印象。有名なシングルヒット曲がないのでファン以外にはあまり知られていないと思うが、音楽性的にはB'zというバンドの名刺代わりにもなりそうなほどらしさが詰まったアルバムでもある。
それにしても彼らは日本一売れているバンドであるにも関わらず、実は意外にも実験的なバンドでもあるというのはあまり世間には伝わっていないところかもしれない。特に初期から本作あたりまでのアルバムごとの変化はかなり激しく、クオリティこそ高いもののB'zという肩書きがなければ果たして売れていたかどうかも怪しいアルバムすらもあったりする。そのうえでここまで長く愛され続けているというのはやはりどう考えてもすごい。もはや、いて当たり前の存在と思われる領域まできてしまっているかもしれないが、いまだに東京ドームを満席にできるハードロックバンドが日本にいるということの重要さを改めて知るべし、である。
話がずれたが、このでけえ機械、シングルカットできそうな曲がいくつもあるほどの名盤であると同時に、ジャケットがB'zのアルバムのなかでもとてもオシャレな部類に入るのが特徴的だ。過去にも言った気がするが、B'zはジャケットのセンスがなかなか大変なことになっているものも多い(特に2000年以降)ので、より本作のかっこよさが引き立っているようにも思える。やはり前々から提唱しているとおり、ロックアルバムのジャケットで子どもを起用するとギャップでオシャレになりやすいのだ。だってこの子どもがもしおじさんだったら一気に様子がおかしくなると思いませんか?
これぞ緊張の緩和。枝雀師匠、あなたの理論はこんなところでも応用されてますよ。
よーく記憶に残っているこのアルバムからすでに20年近くが経とうとしていることに時の速さを感じずにはいられないが、どうにもこのでけえ機械はまだまだ錆びつくことを知らなそうだ。
ジャケットの子どもも今や社会というでけえ機械をどこかで動かしてるのかな?