誰を描いても浜ちゃんになっちゃうポール・ギルバート画伯〜MR.BIG『テイク・カヴァー』〜平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)連載
音楽と絵画を愛するお笑い芸人・平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)が美術館の館長となり、自身が所持する数々のCDジャケットのなかから絵画的に見て優れているもの、時に珍しいものをご紹介する連載。
第153回:誰を描いても浜ちゃんになっちゃうポール・ギルバート画伯
今回ご紹介するのはこちら。
MR.BIG『テイク・カヴァー』(1996年)
ハードロック界随一のウルトラテクニカルバンド。本国アメリカよりも日本での人気が高く、その親日っぷりもよく知られるところ。10年前の東日本大震災のときなどは数々の海外アーティストが来日公演をキャンセルしていたなかで、誰よりも早く東北でのライブを行い被災地を元気づけるための新曲まで作ってくれた。まさにAMERICAN SAMURAI。AMERICAN EDOKKOな彼ら。
そんなMR.BIGの代表曲のひとつが今回紹介する『テイク・カヴァー』。アルバム『ヘイ・マン』に収録されている曲だが、今回はあえて5曲入りのシングル盤をご紹介。中古屋でたまたま発見して手に入れたものだが、探して見つけるのはちょっと難しいと思う。
タイトル曲は胸を締めつけるような哀愁感がたまらないミドルテンポの名曲。個人的には彼らの曲のなかでも一番好きな曲だ。2曲目の『ゴーイン・ホエア・ザ・ウィンド・ブロウズ』も同じく『ヘイ・マン』収録。シンプルなアコースティックバラードだが、これもまた心に沁みる名曲である。3曲目の『シュート・ザ・ムーン』はアルバム未収録曲。ファンキーなリズムの乗りがいい曲で、MR.BIGらしさ全開のグルーヴィな佳曲。4曲目『ジャスト・テイク・マイ・ハート』と5曲目『ザ・ホウル・ワールズ・ゴナ・ノウ』はライブバージョンで、彼らの安定感抜群の演奏とエリック・マーティンの歌のうまさを改めて思い知らされる。
トータル的に非常においしい内容のシングルなので、ファンなら持っておいて決して損はないと思う。AMERICAN SONHANAI。
そしてこのハードロックバンドのCDジャケットとは思えないなんともゆるい感じのジャケットは、ギタリストのポール・ギルバート画伯の手によるもの。誰を描いても浜ちゃんになっちゃう非常に味のある彼の絵はファンにはおなじみのところだろう。ハードロックバンドとはいっても比較的マイルドな芸風の彼らのイメージには合っていると思う。
ハードロック入門としてMR.BIGから入る人は多いが、入門タイプのバンドというのはとかく基礎がしっかりしているバンドが多く、最終的にはまたここに帰ってきてしまうものだ。つまり最強なのである。
AMERICAN KISOSHIKKARI。