何より可愛い〜マイメロディ・クロミ『マイメロがんばる』『ぶっちぎり☆逃亡天使』〜平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)連載

連載・コラム

[2021/11/3 10:00]

音楽と絵画を愛するお笑い芸人・平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)が美術館の館長となり、自身が所持する数々のCDジャケットのなかから絵画的に見て優れているもの、時に珍しいものをご紹介する連載。


第169回:何より可愛い


今回ご紹介するのはこちら。

マイメロディ・クロミ『マイメロがんばる』『ぶっちぎり☆逃亡天使』(2005年)

<あの海外セレブの背後に偶然ロバートが写り込む奇跡>

ご存知サンリオから1975年にデビューした偉大なるアーティスト、マイメロディ嬢。爆発的にブレイクしたのは1990年代後半からなので遅咲きと言えば遅咲きなのだが、いまや日本で彼女を知らない者はいない。同期は細川たかしさん。

クロミ様は2005年のマイメロディ嬢主演作品『おねがいマイメロディ』にて準主役ポジションとして華々しいデビューを飾り人気爆発。悪役という個性を持ちながらサンリオに正式所属となり、その後の活躍もまた目を見張るものがある。同期はサンシャイン池崎。

本作はそんなふたりにとっても思い入れ深い作品『おねがいマイメロディ』におけるそれぞれのテーマソングの中のひとつ。『マイメロがんばる』はマイペースなメロディ嬢の性格がそのまま反映された、ボサノヴァ風のゆったりとした雰囲気の曲。おそうじして紅茶飲んでおひるねしておせんたくしてクロミ様にメッ!してお買い物というストーリー。とてもがんばっている。

そして相変わらず一声発するだけで瞬時に彼女とわかる個性的な声。それこそ一流アーティストの証である。自分の可愛さは自覚していてもそのあたりの個性に関しては無自覚ゆえ、天才タイプのアーティストともいえる。

続く『ぶっちぎり☆逃亡天使』は『クロミパンク』と並ぶクロミ様の代表曲。『マイメロがんばる』から一転、生のバンドサウンドを基盤にしたアップテンポなロックナンバーである。メロディ嬢への恨み節を炸裂させた『クロミパンク』と違い、こちらはレディースチーム「クロミーズ5」のヘッドとしてのクロミ様自身の生き方をストレートに叫んでいる。バンドは切れ味鋭いアンサンブルを聴かせ、クロミ様もソウルフルな歌唱を響かせている。そんじょそこらのヤワなロックバンドなど軽く蹴散らせるパワーをもつ名曲だ。

3曲目、4曲目にはメロディ嬢、クロミ様のメッセージが収録されており、上記2曲は他の盤でも聴けたりするのだが、このメッセージに関してはおそらくここでしか聴けないものなので、ファンは要チェックだ。ここでもふたりの節が炸裂している。

そしてジャケットは可愛らしいメロディ嬢だけがどんと居座っているように見えるが、実は表裏一体で裏ジャケットにはダークな色合いのなかメロディ嬢と同じポーズのクロミ様が。

楽曲の性質含め相反する個性を持ったふたりの対比がわかりやすく描かれている。そして何より可愛い。これだけで持っておきたいと思わせる優れたジャケットだ。

いつの世も対照的だがどこか惹かれあうコンビというものはロマンを感じるものだ。ミック・ジャガーとキース・リチャーズ、横山大観と菱田春草、生ハムとメロン、マイメロディ嬢とクロミ様。1+1が3にも4にもなるコンビは強い。

実は今まで意外となかったが、このふたりがしっかりとしたユニットを組んで曲なんか出したらたぶんすごいことになる。空前絶後の望郷じょんがらが聴きたい。

夢の扉は開くばかりである。

平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)

ひらい“ふぁらお”ひかる●1984年3月21日生まれ、神奈川県出身。2008年に新道竜巳とのお笑いコンビ“馬鹿よ貴方は”を結成。数々のテレビ/ラジオ番組に出演するほか、『THEMANZAI2014』『M-1グランプリ2015』の決勝進出で大きな注目を集める。個人では俳優やナレーターとしても活躍。音楽・映画観賞や古代エジプト、恐竜やサンリオなど幅広い趣味を持つ。