ストイックな稲葉浩志、いぶし銀の松本孝弘……ふたりのパーソナルな魅力〜平井“ファラオ”光のB’zコラム『がんじがらめかといえばそう』第3回〜
バラエティ番組『アメトーーク!』の『B’z芸人2023』にも出演し、音楽好き&B’zファンとして知られる平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)がB’zの魅力についてひたすら綴る連載! 毎月第2・第4金曜日の正午に更新!!
おふたりのパーソナルな魅力をご紹介!
どうも、オモシロヒゲメガネです。
さてB’z連載『がんじがらめかといえばそう』、意気揚々とおっぱじめたはいいものの、当然読んでくださっている皆様方の中には、まだB’zをよく知らないという人もいらっしゃることだろう。ご新規さんを受け入れるという観点で、あまり内輪内輪の内容になりすぎないようにしなければならない。
なので今回はB’zのおふたり(稲葉浩志さん、松本孝弘さん)のパーソナル的なところも含めたざっくりとしたご紹介を行いたいと思う。ファンの方はすでにわかっていることも多いでしょうがご了承を。
まずはボーカル、稲葉浩志さんについて。
B’zの楽曲のほぼすべての作詞を担当し、圧倒的な声量、超絶ハイトーン、アスリート並の運動量など、今や日本トップクラスのロックヴォーカリストとして知られている稲葉さんだが、そんな稲葉さんを語るうえで外せないキーワードはやはり「ストイック」、これに尽きるだろう。20年くらい前のNHKの特番(※2008年に放送された『メガヒットの秘密〜20年目のB’z〜』)でそのストイックぶりが世間にばれてしまったわけだが、レコーディング時の環境作りから日常での体調管理に至るまで徹底しており、そのプロ意識の高さこそがいまだ衰えぬスーパーヴォーカリスト稲葉浩志を作り上げているということはまあまあ知られているところだろう。松本さんも稲葉さんのことに言及するときに「Stoic」「努力家」などと答えることが多いくらいなので、そのストイックぶりたるやである。ただ最近じゃそのストイック伝説がひとり歩きし始め、本人的にはそこまでやってねえよと自らの噂を回収する場面もちょこちょこ見られたりもするが。
また、稲葉さん特有のあの個性的すぎる声に関しては、どうやら稲葉さんの異常な声帯の強さあってこそのもので、常人が真似したら怒られちゃう発声法を用いたもののようである。
それと世間的にあまり知られていないであろう稲葉さんの個性において個人的に特筆すべきと思うのが、上記のようなスーパーマン的イメージとは裏腹に、人間的には実は根暗な性質を強く持っているということだ。これは稲葉さんという人間の非常に興味深いところでもあると思っているので、別の回にいずれたっぷり書かせていただこうと思う。また独特の不思議なセンスを持っている人でもあり、歌詞や楽曲のタイトルに時に表れたりするのだが、このあたりも今後ちょくちょくおイジり申し上げることになるだろう。
続いて松本さんについて。B’zの楽曲のほぼすべての作曲、プロデュースを担当しており、世間的なイメージではやはり日本ロック界のスーパーギタリストという印象だろう。確かに実力、実績ともにスーパーギタリストとしてまったく異存の余地はないが、ヴォーカル以上にギターにおけるテクニックや個性というものはわかりにくいところ。しかもスーパーギタリストとして知られる松本さんの本領はテクニックでは絶対にない。これこそまさにB’zの魅力を語るうえで特筆すべき点なのだが、それを書き出したら完全に長くなる。ゆえにギタリスト松本さんのすごさに関しては、これまた今後じっくりその回を設けたいと思う。
また、古くからあるロックバンドのひとつの様式美として、華やかなボーカリストとクールなギタリストの対比の美というものがある。ローリング・ストーンズが元祖だと思うが、B’zもまさにそれで、ステージを派手に駆け回る稲葉さんに対し、松本さんはパフォーマンスよりもプレイに集中する職人タイプ。このいぶし銀なスタイルがかっこいいのである。
その性質は人間性にも表れていて、人の悪口などは言わず、謙虚で穏やかな人柄である。これは稲葉さんもそうだが、リーダーである松本さんの影響もあるのではないかと思う。
ハードロック、ロック、ジャズ、ブルース、歌謡曲など幅広いルーツを持つ松本さんの音楽センスは非常に奥深くおもしろい。毎度B’zがどんなスタイルの音楽性を見せてくれるか楽しみになるのは、松本さんのルーツの広さゆえだろう。
そんな異なる個性を持ったふたりによるロックユニットがB’zである。
ハードロックを軸にしたスタイルでふたり組というのがそもそも珍しいのだが、それで35年間休まず続けられているのは、やはりお互いがお互いに対してリスペクトを持っているからだろう。
稲葉さんのボーカルが収録されたデモテープを松本さんが聴き、スタジオでビートルズをセッションし、はっきりと「一緒にやろう」と言ったわけでもなくそのままのそりと始まったらしいB’zだが、そんなドラマチックとは程遠いふたりの出会いが実は奇跡的なものだったというドラマチック。
まだまだこの先が楽しみである。