自信をもって他者にお勧めできる真のライブバンド〜平井“ファラオ”光のB’zコラム『がんじがらめかといえばそう』第7回〜

連載・コラム

[2024/1/12 12:00]

バラエティ番組『アメトーーク!』の『B’z芸人2023』にも出演し、音楽好き&B’zファンとして知られる平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)がB’zの魅力についてひたすら綴る連載! 毎月第2・第4金曜日の正午に更新!!


自信をもって他者にお勧めできる真のライブバンド

どうも、オモシロヒゲメガネです。

音楽の世界において一流の定義のひとつとされる要素、それはライブで真価が発揮されるということだ。科学の進んだ現代、こと音源の中ではさまざまな加工や修正が可能であり、音程のズレや音のバランス、その他細かいミスなど、表現者自身の不足している部分がてくのろじぃの力によって見事に補われた状態で届けられていたりする。

だがライブとなるとナマモノゆえそうはいかない。技術やパフォーマンスなど、表現者のありのままの実力が浮き彫りにされ、ときには音源で素晴らしいものを聴かせてくれていた人が、ライブではまあまあ残念なことになっているパターンも少なくない(その日の調子の良し悪しもあるだろうが)。まあ音楽はライブがすべてというわけでは当然ないが、グルーヴやダイナミズムが重要視されるロックにおいてはライブのパフォーマンス力でアーティストの真価が問われるのは当然といえば当然だ。

その点、B'zは迷わず自信をもって他者にお勧めできる真のライブバンドといえる。

よく言われていることだが、まず稲葉(浩志)さんはその超人的なフィジカルをもってステージを広く使い、そのうえで正確な音程と爆音にかき消されぬ声量をキープし続けている。90年代などはそれこそソニック・ザ・ヘッジホッグかと言いたくなるほど常に走り回り、技術も伴った荒々しいパワーで観客を圧倒していた。今では当然若い時分ほど派手に走り回ることはなくなったが、大きく動かなくても彼のフロントマンとしてのオーラはステージの派手さにまったく負けていないので、モンスターバンドのフロントマンとしてのひとつの理想像として、一度は生で見ておくべき人間のひとりといえる。天性のルックスと独特のセンスが光る衣装もまた舞台映えする要因のひとつだ。

松本(孝弘)さんももちろん音源においても素晴らしいプレイを聴かせてくれているが、やはり生で観るとさらにすごい。正確さはもちろんのこと、ライブならではのアレンジソロなども多く、なにより決して押しつけがましいプレイではないのに、音が鳴った瞬間に空気が変わる圧倒的な“TAK感”。そして松本さんの真髄のひとつでもある歌心に関しても、ライブではさらに深い情感を伝えてくれる。稲葉さんと違い派手なパフォーマンスをするタイプではなく、どっしりと地に足をつけ、あくまで音で存在感を出す人だが(たまに笑ってる)、舞台人にはそれぞれキャラクターや役割というものがある。B'zというバンドの大黒柱でもある松本さんはあのスタンスこそが稲葉さんとの対比もあり丁度良い。

また、サポートメンバーのレベルの高さも、演奏面における絶対的な安定感を出す重要な要素になっていることは言うまでもない。

巨大なバンドだからこそできる凝った演出も魅力

さらにB'zのライブは演出面においてもエンターテインメント性溢れる素晴らしいものを見せてくれる。やはりB'zクラスになるとスタジアム規模でのステージも多くなるので、そのぶんセットも豪勢なものになっていくのだが、ときにはステージ自体がテンションが上がってB'zのふたりを乗せたまま勝手に(語弊あり)客席のほうに移動したり、勝手に(語弊あり)ぐるんぐるん回転したり、バイカーたちが乗り込んできて(語弊あり)稲葉さんの頭上を飛び回ったり、飛行船が客席にバクダンを落としたり(事実)と、B'zという巨大なバンドだからこそできる凝った演出で楽しませてくれる。当のおふたりも高いところから飛び降りたり、ギターを爆破させたりとそこそこやりたい放題である。

また、そんな豪快な演出もありつつ、ときにはファニーなコントのようなものを披露する時間もあったり、MCではあくまで謙虚な語り口だったりと、全体を通して緩急もあるので飽きさせない。

そんな感じで、いちファンとして楽しめるところも当然ありつつ、ひとつの文化としてやはり重要だと思うのは、日本のハードロックバンドでスタジアム規模のライブをやれる存在がいるという事実だ。

上にも書いた通り、表現者にはそれぞれの役割というものがある。ポピュラーな世界で大衆に寄り添った表現をする人、狭い世界でも確かに価値のある表現を追求する人、その他さまざまな立ち位置があり、それぞれが反発することも含めて支え合っているからこそ文化は残っていけるのである。ロック、ポップス以外にも多くのジャンルが存在する音楽の世界はその点において傍から見る分には健康的に見えるが、だいぶ以前からもはや売れるジャンルではない“ハードロック”という世界において、日本で唯一東京ドームを満員にできる存在としての役割を担っているのがB'zなのだと思う。

2010年代以降あたりからB'zもわりと積極的にフェスなどにも出演する機会も増えたので、もともとファンでなかった人がたまたまB'zのパフォーマンスを見てそのすごさを知った、という話をよく聞くようになった。なんならやや斜に構えて見ていた人すらB'zに対する見方が変わったという人も多いくらいなので、やはりそれだけの説得力がB'zのライブにはあるということだ。

まだ未見の方は何かのきっかけでぜひとも一度体験してみていただきたい。

ちなみにゲスト出演依頼いつでも待ってます。

イラスト:平井“ファラオ”光

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平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)

ひらい“ふぁらお”ひかる●1984年3月21日生まれ、神奈川県出身。2008年に新道竜巳とのお笑いコンビ“馬鹿よ貴方は”を結成。数々のテレビ/ラジオ番組に出演するほか、『THEMANZAI2014』『M-1グランプリ2015』の決勝進出で大きな注目を集める。個人では俳優やナレーターとしても活躍。音楽・映画観賞や古代エジプト、恐竜やサンリオなど幅広い趣味を持つ。