今キてる中学生アイドル963を直撃! 事務所社長のナイナイ矢部っち兄・矢部美幸氏にも会ってきた

特集・インタビュー

[2016/3/20 12:00]

【矢部美幸氏インタビュー】


———東京と福岡に事務所を構えている理由は何ですか?
 エンタテインメント業界のなかで、九州出身の方って意外と多いじゃないですか、表に出る人もそうだしクリエイターもそうだし、潜在的にめちゃめちゃいると思うんですよ。タレントの輩出率の多さから見ても福岡はエンタメに向いてる人が多いんじゃないかと思って。エンタメ業界は、テレビ局もそうやし出版社や制作会社、広告代理店も多く所在する東京で回っているといっても過言ではないと思うので、東京は押さえたうえで、新しい人材を探す場所ということで福岡に事務所をつくったんですね。それで東京本社の福岡事業部っていう感じで構えたんですよ。

———矢部さんご自身がスカウトされることもあるんですか?
 ありますよ! 福岡で事務所を立ち上げた当初はスタッフの池田とふたりで1年くらいはずーっとスカウトをしてました。それこそ博多や天神の街で声をかけたりだとか。

———スカウトする際に、良いものを持ってる子を見分けるコツとかあるんですか?
 それ、気になりますよねぇ(笑)? 何て言うんでしょう、“これ!”っていうのはないんですよ。その、言ってしまうと感覚でしかないんですね。街を歩いててパッと見てキレイだったり可愛かったりスタイルが良いとかっていうのはひとつの指標にはもちろんなるんですけど、僕に限っては、何回も見てしまう子がいるんですよ。大体の子はパッて1度見て終わりなんですけど、なかには何回も目で追ってまう子がいて。その理由が何なのか、明確にはわからないんですよねぇ。それが“個性”なのか何なのか……。僕もスカウトを始めた最初の頃からこの感覚があったわけではなくて、この仕事を10年以上やって、色んなアーティストがどういう風にブレイクしていったかっていうのを勉強するにつれてわかるようになってきたんですけどね。

———963はどんなコンセプトで結成されたのでしょうか?
 963を結成したときは高校生の4人組グループで、今のふたりは3期か4期のメンバーなんですよ。963のコンセプトは“女の子がゆるいラップを歌う”っていうことなんですけど、それだけはずっと変わらなくて。もともとうちはモデルやタレント事務所なんで、歌を歌うっていうのに積極的じゃない子が多かったんですよね。それで何度かメンバーチェンジを経て、1回リセットして963のメンバーのオーディションをしたんですよ。歌やダンスのスキルはあとで練習すれば何とでもなるから、とにかくがむしゃらにやる気のあるやつを入れようって言って。そのなかで選んだのが今のメンバー(ぴーぴる、やーぷん)です。あのふたりは向上心のかたまりでしかないんですよ。

———963は東京の耳の早いファンからも注目されていると思いますが、楽曲に携わっている豪華な制作陣(作詞の岩淵竜也や作・編曲の西原健一郎)は、どういう経緯で集まったんですか?
 そもそもアイドルさんって、音楽関係者が仕掛けている場合がけっこう多いんですね。自分たちで曲や歌詞を書いて歌わせることができるから、それは当然かもしれない。で、僕らはあくまでも芸能事務所なので音楽は専門分野ではないんですけど、アイドルをつくるうえでは楽曲や歌はもちろん、それだけじゃなくて本人のキャラとコンセプトが上手く融合してるかということや、全体のバランスがすごく大事だと思っていて。963に関して僕らができることっていうと、音楽に長けた人を付けるっていうことなんですよね。そのなかで963のマネージャーをしている池田が岩淵さんや西原さんの作品を聴いて、“この方々の作った歌詞や曲を彼女らに歌わせたい”っていうのがあって、結構時間をかけてお願いしたんですね。それで1年弱かけて『夢?幻?ドロップス』ができたんです。なので、“餅は餅屋”じゃないんですけど、彼女らに専門分野の人を付けるのが僕らの仕事で、こういった体制になりました。自分たちが音楽をやっているわけじゃないぶん、何の制限もなく純粋に良いと思う人を集められるのが強みではあるんかなぁと思いますね。

———『夢?幻?ドロップス』はMVも印象的ですが、どういったコンセプトで制作されたんですか?
 あれはですねぇ、僕と池田とMV撮影をお願いした崔郷通範監督の“中高生時代に思い描いていた美少女像”ですね(笑)。“美少女たるものこんな感じであろう”というのがありつつ、田舎の素朴な感じの子たちが自然に囲まれたなかでゆるいラップを歌ったらおもしろいんちゃうのって。福岡の能古の島という場所で撮影しました。

———活動のなかで、963のメンバーふたりに細かく指示をしたりっていうことはあるんですか?
 あくまでもこっち側がやりたいコンセプトっていうのはあるんですけど、あんまり本人たちにそれを落とし込んでないんですよね。“こうあるべき”っていうのを押しつけるとふたりの場合は良さが消えるやろなって思って、いじらんようにしてるんですよ。彼女らに関しては、とりあえず自由にやれと。当然、挨拶とか基本的なルールは徹底的に教えますけど、そういう枠組み内だったらある程度自由にやらせたほうが成長スピードも早いやろし、彼女らにとっても1番いいと思うんですよね。

———矢部さんは過去にご自身でもお笑い芸人として活動されていたそうですが、そのなかでの得たことを教えることもありますか?
 ありますね。僕も、何言うてもウケへんっていうこととか全然ありましたし。当然それって、何言うてもウケへん場所じゃないんですよ、投げる球が間違ってるわけです。自分は“この球を投げよう”と思ってるけど受ける側はそうじゃないんですよね、だから観客と演者の間にズレが生じるわけで。でもどんな場所でも正解の投げ方があるはずなんです、それをどう見つけるかなんですよね。って言ってますけど、挫折した人間が言っても説得力ないですけどね。ただ、 “今日のお客さんはこうなんや”っていうのを自分で感じていく。それができるようになったら強いと思います。

———現在は、ご自身が表に出るというより事務所のアイドルやタレントさんを育てていくほうがやりやすいですか?
 そう、そっちのほうが性分に合ってるといいますかね。それは僕の後悔の念からきてるところでもあるんですけど、エンタメ業界を目指す若い子たちにチャンスをあげたいっていう気持ちから、この仕事をやっているんですよね。自分が過去にお笑いをやっていて色んな人にチャンスを与えてもらったけど、そのチャンスを掴めてなかったんで。“チャンスを勝ち取るためにはどういう心構えでいかな勝てへんよ”っていうことは、自分の言葉で言えるんで。

———演者としての視点からも教えることができるということですね。
 そうだとは思うんですけどね。あとはまぁ、弟(ナインティナインの矢部浩之)もね、ありがたいことに一線でやらせてもらってますけど、歳の近い兄弟が同じ道を目指して、片や一流になって、片や全然あかんっていう事例ができてるわけですよ、僕のなかで。彼があそこまで行く様(さま)っていうのは間近で見ているし、歳をとればとるほど、若い頃の(弟と自分の)圧倒的な考え方の違いっていうのは身につまされるわけですよ。でもそれは歳をとってからじゃないとわからないんですよね、若いときはわからなくて。僕もこうして挫折したり失敗したりして色んな角度から経験したことを教えられるっていうのは、説得力という面では強いかもしれないですね。

———現在は弟さんに対してどんな想いがありますか?
 いやぁもう、すごいなぁと思いますよ。あんなところまでいけるのってひと握りじゃないですか。それがねぇ、まさか自分の弟があの位置にいくとは。若いときには夢にも思ってないし、今はただただ“すごいなぁ”って素直に思いますよね。常に第一線でやってる人たちっていうのは、多分すごいアンテナを張ってると思うし、“明日終わるかもしれん”っていう恐怖感とともにやってると思います。それはエンタメだけじゃなくてスポーツとかファッションとか、どんな業界でもそうだと思うんですけど。

———アイドルやタレントの方々も見習うべき部分がありそうですね。
 僕が事務所の子たちに言いたいのも、結局はそこなんですよね。“そういう意識を持つ人たちが第一線で活躍できるんだよ”って。963も含めて事務所の子たちを育てていくうえで、そうやって自分が見てきたことや経験してきたことから教えられることってたくさんあると思うんで、そういうことを伝えていけたらいいなって思います。



等身大の中学生らしさのある963と、事務所の社長である矢部氏の熱い想いが込められたインタビュー、いかがでしたか? 天真爛漫で自由ながらもモチベーションの高い963のおふたりと、“若い人たちにチャンスをあげたい”とのお言葉が印象的だった矢部氏。ステージに立ち表現をする側とそれを見守りながら育てる側の両者にお話を聞ける貴重な機会でした。今後も963のおふたりが自由にのびのびと自分たちらしいやり方で活躍される姿を観ることが、より楽しみです。さらなる飛躍を期待しつつ、耳マンは今後も963に注目していこうと思います!

【定期公演も開催! 963の今後の予定】

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3月21日(月祝)
『アイドル甲子園FESTIVAL2016 supported by 生メール』
会場:新木場STUDIO COAST
開場:10:15/開演:11:00
前売:5000円/当日:5500円(ドリンク代別)
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3月22日(火)
『アイドル甲子園FESTIVAL2016 後夜祭 in 新宿BLAZE』
会場:新宿BLAZE
開場:14:30/開演:15:00
前売2500円/当日3000円(ドリンク代別)
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3月23日(水)
『LIVEプラス』
会場:渋谷CLUB QUATTRO
開場:14:30/開演:15:00
前売:1500円/当日:2000円(ドリンク代別)
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3月26日(土)
『new encounters Vol.3』
会場:渋谷Milkyway
開場:10:30/開演:11:00
前売:2500円/当日:3000円(ドリンク代別)
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4月2日(土)
963定期公演『今日も963と...』
会場:新宿LOFT bar Lounge
開場:12:00/開演:12:30
前売:1500円/当日:2000円(ドリンク代別)
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4月23日(土)
『夢?幻?ドロップス』リリースイベント
会場:タワーレコード新宿店
開演:15:00予定
入場無料

榊ピアノ