ヴィジュアル系からハロプロまで愛されるダイエースプレー伝説

連載・コラム

[2016/4/7 10:00]

『ダイエースプレーを買ってきた「エレーヌとエレラの物語」』
というわけで、ダイエースプレー熱が高まってしまい、久々に買ってきた。ダイエーで販売されている『Helene(エレーヌ)』にくわえて、ローソンで販売されている『ELERA(エレラ)』も買ってみた。

左がダイエー製“エレーヌ”、右がローソン製“エレラ”。名前も似ているし、缶、フタ、カラーリング、デザインの方向性もほぼ一緒である

ローソンはもともと『ダイエーローソン株式会社』というダイエーの子会社であり、エレーヌはローソンでも売られていた。のちにダイエー系列を外れたローソンが独自ブランドとして誕生させたのが、『エレラ ヘアスプレー』というわけだ。

エレーヌは数多くの化粧品OEM製造で知られる花精科学工業社製
エレラは男性化粧品で有名なマンダム社製。ちなみに先述の動画内で相川さんが使用しているのはこちらである

エレーヌはダイエーで税込398円、エレラはローソンで税込508円だった(※店舗により販売価格は異なるかもしれない)。成分はほぼ一緒。110円分の格差はどこだろう。缶もフタの形状も一緒だが、エレラのフタのほうがパールがちりばめられたプラスチックで、少しだけ高級そうである。そして、噴射口が違うことに気付いた。エレラのほうがハイテクなのだ。エレーヌは圧が強く狭域に集中するといった噴射具合に対し、エレラは優しい圧で霧が細かく広範囲に行き渡る。

エレーヌ(左)は塗料スプレー、エレラ(右)は制汗剤のようなミスト、といった趣だ

肝心のセット力の効果や持続性の違いは、正直よくわらない。一部では「エレラはエレーヌに劣る」といった声も見受けられ、確かにガッチリ固まる感のあるエレーヌにくらべ、エレラのほうは自然ながらも強力にキープするといった使用感である。ただ、先述のように噴射具合が異なり、1プッシュによる射出量も違うので、どちらが優れているというものでもない。YOSHIKIのように“角を立てる”ならエレーヌ、RAYLAのように“盛る”ならエレラ、といった具合に髪形によって使い分けるのもよいだろう。

類似品といわれるエレラだが、ダイエーとローソンは長年友好関係を保ってきた。現にダイエーがイオンの完全子会社になった2015年6月まで、ダイエー商品券やOMCカードがローソンで使えた。系列離脱もダイエーの業績悪化により、結果的に筆頭株主が変わってしまっただけである。エレーヌとエレラ、名前も外見もこれほどまでに似ていて、大手スーパーのヒット商品を子会社であった大手コンビニエンスストアが真似るとも考えにくい。許可を経て「引き継いだ」と考えるのが妥当ではないだろうか。イオンのダイエー統合により、エレーヌの今後が懸念されているが、最悪の事態が訪れても、おれたちにはエレラがいるのだ。

そんなことを考えていると、ダイエースプレーにまつわるとある噂があったことをふと思い出した。


『ダイエースプレー都市伝説』
「接着剤なんじゃないの」──その凄まじいセット力と当時1本300円程度という安価から出た噂である。その恐ろしいまでの髪を固める力は、洗髪の労力がハンパない。「石鹸水に頭をしばらくつけておく(BUCK-TICK・談)」「ママレモンで落とす(LUNA SEA・談)」というほどである。実際、商品の注意書きに、落ちにくい場合は、「蒸しタオルで髪を巻き、しばらくしてからシャンプーで洗う(エレーヌ)」「浴用石ケンをお使いください(エレナ)」と書いてある……(汗)。

「ダイエースプレーでプラモデルを作った(LAUGHIN' NOSE・談)」という話もあったし、実際に検証した記事も存在している。そんな凄い接着力を誇るのであれば、スプレー糊として使えるんじゃね?と思い立った。

スプレー糊って、結構いい値段がする。レイヤーさんも衣装製作で使うことも多いだろうし、糊と整髪料で一石二鳥じゃん?!

というわけで、


『ダイエースプレーがスプレー糊として使えるか試してみた!』

試しにティッシュペーパーに拭きかけてみる。

そして、ドライヤーで乾かす。

乾いたら半紙のような質感になったので、字を書いてみる。滲まず、破けずに書けるぞ!細字の万年筆もへっちゃらだ。

よし、では何枚か重ねて……。

見事にくっつかなかった!(無念)

早くも玉砕である。いろいろ試行錯誤したものの、ダメだった。ティッシュすらくっつかないのであれば、普通の紙なんて……、案の定無理だった……。

<まとめ>
やはり、ダイエースプレーは整髪料だったのである。

「今回の教訓」

冬将軍