アイドルや邦ロックとの遭遇&ニッケルバックに熱狂……平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)のサマソニレポート【後編】
平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)のサマソニレポート後編!
やあ、おはよう。濃厚だった『SUMMER SONIC 2018』(以下、サマソニ)1日目の余韻がいまだ頭に残るなか、本日サマソニ2日目、レポートのことを頭に入れながらも今日も楽しんで帰ろうと思う。ということで朝9時過ぎに電車に乗り海浜幕張駅へ。着いたのは11時すぎ。果たして今日もサマソニはやっているのか? もしかしてやってないんじゃないのか?
やってますよもちろん。
そしてもちろん今日も友達連れで。
そういえば昨日もそうだったのだが、ここにたどり着くまでの間に舞浜を通るものだから、まわりの人たちに「あいつディズニーとピューロランド履き違えてるぜ。バカじゃねえの。ププー。方向真逆ですよー。あんたの好きなキャラクター誰ひとりいませんよー。プップー。あれ? でも服装だけ見ればインディ・ジョーンズだな。ということはディズニー目当てなのか? でもサンリオのキャラクターつけてるしな。え?何?怖い。目的なんなの? キモイんですけど死ねばいいのに」と思われてしまったのだ。
というわけでインディ・ジョーンズみたいな格好でサンリオのキャラクターをカバンにつけてサマソニにやってきたファラオさんなのだが、目的のニッケルバックの出番・19時50分まで相当時間があるし、それまでは適当に観ていい発見があれば、なんて思っていた。が、ちょっと予想以上に昨日の疲れが体に残っているようだ。ファラオさん34歳。趣向も50代なら体力面も50代のおっさんと互角みてえだ。
なので、来て早々休憩を兼ねて腹ごしらえ。とはいえ会場内の出店だと人の喧騒で落ち着けるわけはない。そこで目をつけたのは幕張メッセ内常設のカフェ。実はここ、目立つところにあるのだが、サマソニなどのお祭りどきだとみんなフェスならではの飯を食べたくなるもので、カフェ内はガラガラに空いているのだ。というわけでほぼ貸切に近い状態でゆったりと食事(ガパオライス)をいただく。食後のコーヒーが体に染み渡る。眠い。あー眠い。あーもうだめだおやすみグー・グー・ドールズ………………キティちゃん結婚してください………………。
2時間後。
いやあ、おはよう。今日もはりきっていこう。
というわけでやって参りましたサマーソニック2日目。(時間がない人は2日目のレポートはここからお読みください)
気になっていたあのアイドルを初めて観てみよう!
さて、何を観ようかとタイムテーブルを眺めていると、おや? この人たちは。ちょっと知っている名前だぞ。ということで、ちょうど始まる時間だったので向かうはジャングルステージ。
目的は“ゆるめるモ!”。4人組のアイドルグループなのだが、メンバーのようなぴさんはかなりのサンリオ狂いだという噂を、同じくサンリオ狂いのワタナベエンターテインメントのコンビ・アントワネットの山口いくから聞き、しかも彼女は定期的にピューロランドでイベントも行っているほどだというからかなり気になっていたのだ。ダチになれそう。
正直見た目も派手だしピューロランドでパフォーマンスしてるくらいだからもっと可愛らしくキャピキャピした感じなのかなと思っていたが、これがすさまじくパワフル。並みのロックバンド顔負けである。煽りも上手いしおよそ30分の持ち時間を一瞬も気を抜かず全力投球、完全燃焼というぐらいに心地良いエネルギーをぶつけてくれた。
ようなぴさんは4人のなかでもリーダー的存在なのか、かなり積極的にお客さんを煽っていた。キャピキャピという言葉が死語なのは十分承知のうえで使っているのでニヤけるのをやめなさい。
さてゆるめるモ!で一気に目が覚めたぞ。次は何を見ようかとたまたま通りかかったレインボーステージにはキュウソネコカミ。よく聞く名前だ。よし見よう。
いや、何というかこれ、ダサいとカッコいい、バカとクールがものすごい絶妙なバランスで同居してる気がする。ただし明らかに確信犯だ。カッコいいバンドサウンドのなかにときどき出てくるズッコケてしまいそうなフレーズ、これが妙にクセになる。まあその“バカ”な要素の大部分を担っているのはキーボードのヨコタシンノスケさんなのは一目瞭然。動物みたいにぴょんぴょん跳ね回ってら。何にせよ彼らはすべての曲をライブでやることを第一に意識して作っているんじゃないかと思う。それくらいただひたすらに楽しいライブだった。
そしてキュウソネコカミオワッタ後、次はどうしようかい。正直ビーチステージやマリンステージに移動するのはちょっとしんどい、歩くとそこそこ距離があるのでバスに乗らなければならないのだ。
よし、じゃあサマソニ的な何かをしよう。というわけでインスタ映えする写真が撮れるブースでインスタ映えする写真を撮りました。
キティちゃん結婚してくれー!(最近彼女に振られました)
そういえばここらでちょっとおコーヒーでもいただきたい気分。コーヒーは心の友。ということでずっと気になっていた出店・軽井沢ソフトクリームでコーヒーフロートを金と引き換えに奪い、外に出てゆったりといただきました。
ドラッグ吸ってるみたいな表情になっちゃいましたが、濃厚なミルクの味が楽しめるソフトクリームを体に染み渡らせ、トリップしてるだけです。
そうしてのんびりとコーヒーフロートを堪能しながら椅子に座っていると、外国人ふたり組が近づいてきて突如僕に話しかけてきた!
「○×△★$%㊥㍍℃??」
まいった、ひと文字たりとも日本語じゃねえ。とはいえ何とか「Beach Stage」という響きだけ聞こえたので、なるほどビーチステージに行きたいんだなと理解。自分なりにこう説明した。
「ここから向こうに歩いてもらって左に行くでしょ。そしたら正面入り口があるんでそこ出てもらってぐるっと周ってそのまま行くと裏側にでっかい会場あるんでその横です」
少し間があいた。そしてふたり組は「OK!!!」と言って立ち去っていった。多分理解していない。
いや、たしかに僕は時たま見た目が外国人ぽいねと言われることはあるが、英語はからっきし。知ってる単語など「サンリオ」くらいのものだ。そんなアントニー(マテンロウ)スタイルでやらせていただいてる僕にがっつり英語で話しかけられてもわかるはずがない。というか道聞く日本語くらい勉強しなさいよこのスケベ。
正統派ハードロックの影響を感じる日本のバンドを発見
さてまだニッケルバックまでは時間がある。ので何か観てみるかと思い目についたのがレインボーステージのSPYAIR。これもまたよく聞く名前なので観てみることに。国内のバンドでジャンル的にはキュウソネコカミとわりと近いタイプのロック(ミクスチャー的な要素もあるけど)なのだが、こちらはひたすらクールでかっこいい。何となく観てて思ったのだが、ヴォーカルのIKEさんはわりと正統派のハードロックの影響が強い気がした。煽りで「Come on!」と言ったり(昨今日本のバンドでこの煽りをする若手はあまり見ない気がする)、マラカスを振ったりするところでそう思ったのだが、後々調べてみたら影響を受けたアーテイストにB'zの稲葉さんとある。なるほど納得! こりゃ僕とも話合うな。
いや、確かに「Come on!」は日本人にはハードルが高いが、自分のモノにできれば最高にかっこいい煽りだ。IKEさんにはそのロックンロール精神がある。素晴らしい。楽曲もラップやメタルの要素までうまくミックスされていて聴き応え充分だったし、パフォーマンスも稲葉さん的な部分もありながら独自の個性もしっかり確立していて見応え充分だった。
ということでSPYAIRも終わり、みんなすげえなあプロだなあなどと感心しながら何となく外に出てみると、空はもう薄暗く、サマソニももう終盤に近づいていることを実感。何というか、別にまだ夏は終わっていないのにサマソニが終わるということがまるで夏の終わりを意味するかのような妙な虚無感に襲われたり。
ついにお待ちかね、最強ヘヴィロックバンド・ニッケルバック!
まあそんな虚無感など最後の最後に大爆音でぶっ飛ばしてもらおう。サマソニ2日間のマウンテンステージで大トリを飾るのは最強のヘヴィロックバンド、ニッケルバックである。現在までのCD総売り上げが5,000万枚以上という彼らは、まさに若手~中堅クラスでは本当に“世界最強”のロックバンドかもしれない。
さあいよいよスーパーヘヴィな轟音が鳴り響き狂熱のライブが幕を開けた。おや? ギターボーカルのチャド・クルーガーっていつ髪切ったんだっけ? このバンドもともと地味な見た目だったけど、さらに地味になってチャドはまるでエアコンの修理業者だ。とはいえその音は本物。CDのクオリティを上回る見事な演奏&歌唱で観客の心を鷲掴んで放さない。セットリストも人気曲のオンパレードでまるでベストアルバムのようなライブだ。また、ときどき日本語での煽りも入れてくるあたりに好感が持てる。でもやっぱり「CHIBA~!!」ではなく「TOKIO~!!」なんだね。それにしてもチャドはMCでもペラペラペラペラとよ~喋るな。自分で言ったことによ~ウケてるし。気さくなんだろうな、彼は。
驚いたのはライブも後半、なんと観客のなかからチャドがふたり指名してステージに上げ、一緒に『Rockstar』を歌うという大サービスっぷり。チャドめっちゃいい奴説。ただそのふたりの男女も喜んではいたがどうも歌詞がうろ覚えのようで、終始モゴモゴしちゃっていた。まあ早口の曲だからしょうがない。そして曲終わりにそのふたりと記念写真。なんかもうチャドいい奴すぎてちょっと可愛いぞ。昨日観たブレット・フォー・マイ・ヴァレンタインはどこか近寄りがたいカリスマ性を放っていたが、こちらは自ら近づいてきてくれるフレンドリータイプか。うん、まあ……結局どっちも最高!
そして最高のライブはあっという間にアンコールへ。ラストは予想通り『Burn It to the Ground』。大観衆の一斉ジャンプでメッセが揺れる。
僕のサマソニ2018総括
こうして僕のサマソニ2018、1日目は夜空に響き渡る優しい歌声と美しく咲き誇る花火で、2日目は大地を揺るがす力強い咆哮と火花散るような熱狂のなかで幕を閉じた。
そして海浜幕張駅までの帰り道、きっといつかサマソニに出演することを夢見ているのであろう路上ミュージシャン達を通り過ぎながらその演奏を余韻として味わい(ある意味彼らも出演者だ)、もはやまわりの人と合体してクイーンの『ザ・ミラクル』の裏表紙みたいな状態になりそうなほどぎゅうぎゅう詰めの電車で一気に現実に引き戻されるのであった。(『ザ・ミラクル』の裏表紙のグロさが気になる方は僕の連載『音楽“ジャケット”美術館』第3回をご参照)
というわけでリットー大王様、任務完了いたしました。え? お前みたいなもんは来年も行って来い? ちょっと勘弁してくださいよ~。も~しょうがないな~行きますよ~。行けばいいんでしょ~。
Fin.