『BRADIOのファンキーハンター』【田島貴男編~極上のポップスとは!?~】
対談を振り返って
真行寺が田島とのファンキー対談を振り返る
今カバーしたら昔とは全違う『接吻』ができるんだろうな
もう5、6年くらい前だろうか。BRADIOがバンド結成以前から強く影響されてきたポップパンクやラウドロック系のスタイルから今の“ファンキー”なんて言われるようになったちょうど転換期、ポップスやドラムンベースやグルーヴミュージックを意識し出してそれらを吸収して活動するなかで、BRADIOと出会ってくれた数々の楽曲のなかの一曲が『接吻』だった。世代ではなかったけれど、誰からも愛されていたそのポップスは俺たちの耳にももちろん幼い頃から受け継がれ、BRADIOになって本当に僕らが欲しがっていたものそのものと言えるぐらいのフィット感を感じた。その流れは自然で、いつの間にか人前でカバーするようになった。
当時、ギターの聡一がこの曲のコード進行について「ここでこんなコード使うんだ、すげー」って言っていたのを今でも覚えているが、それも書籍『ポップスの作り方』を読んで納得。田島貴男氏という人間の音楽に対する愛と作曲に対する探究心、そして自身を刺激した数々の楽曲たちをマニアックなまでに研究し、音の構成までを解き明かそうとする情熱があふれていて、ただただノックアウトされた。変わっていくこと、重ねていくこと、学ぶことを今でも新しいものに目をくりくりさせて待ち望む子供みたいに楽しんで受け入れていく姿勢に、俺もこの先の未来に期待を抱き、早く未来をみてみたくなった。
やはり一番興奮したのは『接吻』の誕生秘話で、俺たちも馴染みのあるこの曲を新たに解き明かした気持ちになった。今カバーしたら昔とは全然違う『接吻』ができるんだろうな。
本を読ませていただき「田島さんを刺激した音楽と近いものを自分たちも聴いてきたのかな」と勝手ながら親近感を持ったものの、田島さんはクールなイメージも強かったので、対談が決まったときは一体どんな方だろうと少し不思議な気持ちでいた。実際にお話をさせていただき最初に感じたのが、歌もギターも作曲もひとつひとつを偏らずに丁寧に考えてらっしゃる方だということ。そして、ボクシングをやられていたりオートバイが好きだったりする田島さんが、普段の生活のなかでも“リズム感”や”グルーヴ”など音楽につながることがあると話してくれたところからも、やはり大きな音楽愛を感じた。
『耳マン』で連載をやらせてもらってから思うようになったことだが、今回の「昔はドラムのゴーストノートなんてなかったんだよ」というお話のように、今の当たり前が当時は当たり前じゃなかったということが俺たちにはとにかく新鮮。田島さんのお話もそういう驚きのオンパレードで、もっともっとトークセッションをしたかった。
『接吻』をカバーしたんですよって言ったらめちゃくちゃ喜んでもらえたのが何より嬉しかった。また絶対カバーしよう。
田島貴男との“コミュニケーション”で見つけたファンキーワード
「ファンキーとはバカになること」
by 田島貴男
次回もBRADIOが“Funky!!”に出会いに行く予定! お楽しみに!
【著者紹介】
BRADIO
真行寺貴秋(ボーカル)、大山聡一(ギター)、酒井亮輔(ベース)、田邊有希(ドラム)による4人組ロックバンド。楽曲ごとに異なるサウンドを鳴らす楽器陣を軸に、熱唱&ファルセットを使い分ける真行寺の歌声で、観に来たFUNKY PARTY PEOPLEを虜にするエンターテイナー集団。1月18日にセカンドフルアルバム『FREEDOM』を発売!