クリス・コーネルの素晴らしい活動を振り返る〜追悼ジャケパン&ジャケ弁〜

連載・コラム

[2017/6/11 12:00]

ニュースを見て絶句

2017年5月18日の夕方、Twitterのニュースを見て絶句しました。サウンドガーデンのボーカリストであるクリス・コーネルが亡くなったというニュースでした。呆然としてしまいました。嘘でしょ……?

数時間後にたくさんのミュージシャンがクリスとの写真をSNSにアップし始めたのを見て、本当のことなんだ……と悲しみが増してきました。

その日、お台場で行われていたメガデスのライブで、追悼でサウンドガーデンのカバーを演奏したとライブに行っていた友人がツイートしていました。数日前に手羽先で有名な『世界の山ちゃん』に行ったメガデスのデイヴ・ムステインが「うまい! アメリカに持って帰ってビジネスしたい!」と絶賛したという心が和むニュースを見てニヤニヤしてたのに……。

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オーディオスレイヴでのクリス・コーネル

私がクリスのライブを観たのは、RATM(レイジ・アゲインストザ・マシーン)のボーカル、ザック・デラロッチャ以外の3人とクリスが集まって結成したバンド、オーディオスレイヴの2003年の来日公演でした。ファーストアルバム『オーディオスレイヴ』がリリースされてちょっと経ったくらいの時期です。

サウンドガーデンで来日したのは1回、オーディオスレイヴでも1回だけだったので貴重なライブだったんだなぁ。このときのライブ、かなり前方で観たんですけどクリスの圧倒的な歌唱力やあまりのイケメンっぷりに圧倒され、RATMファンだったのに彼ばっかり観ていた記憶があります。

オーディオスレイヴのライブを観たあとは「すごい良い、クリスとRATMは合うんだな!」「やっぱりザックが良い!」「クリスはソロアルバムが素晴らしいから無理にバンドをやらなくて良いのでは?」「有名バンドのメンバーが合わさってうまくいくのかな?」と、いろんな感想を友人たちと話したのを覚えています。

私は「バンドとして完成されてて、4人の相性も良さそうだから順調に続きそう。だから、もうザックは戻って来ないだろうな……でもRATMじゃなくてもトム、ティム、ブラッドの3人が一緒にバンドを続けてくれたのは嬉しいし、クリスとはすごく合ってると思う」と、ちょっと複雑な気持ちになったのを覚えています。

CDラックを探してたら、まだオーディオスレイヴって名前がつく前のデモテープのブートレグが出てきた! 懐かしい。

オーディオスレイヴはその後、『サマーソニック』『ウドー・ミュージック・フェスティバル』にそれぞれ出演者として名前が発表されましたが、フェスの開催前にオーディオスレイヴのキャンセルが発表されて、来日はしませんでした(どちらのフェスも開催されました)。どうなってんだろう?と思ってた頃にRATM再結成が発表され、クリスが脱退すると発表されてオーディオスレイヴは活動を休止しました。

オーディオスレイヴ『オーディオスレイヴ』のジャケ弁

サウンドガーデンとパール・ジャム

サウンドガーデンとパール・ジャム。アメリカ・シアトルが誇るこの2つのバンドには、簡単に説明できないくらい深いつながりがあります。

サウンドガーデン『ダウン・オン・ジ・アップサイド』のジャケ弁

『PJ20 パール・ジャム・トゥウェンティ』というパール・ジャムのドキュメンタリー映画があります。バンドの20周年をまとめたすばらしい映画なんですが、これにクリスが出ています。

すっごく簡単にまとめますと、

クリスのルームメイトだったミュージシャンのアンドリュー・ウッドがやっていたマザー・ラヴ・ボーンというバンドには、のちにパール・ジャムに加入するメンバー(ストーン・ゴッサード)がいました。
 ↓
アンドリューがドラッグのオーバードーズで亡くなり、クリスとマザー・ラヴ・ボーンのメンバーが追悼のためにテンプル・オブ・ザ・ドッグというバンドを結成しアルバム『テンプル・オブ・ザ・ドッグ』をリリースしました。
 ↓
その後、サウンドガーデンとパール・ジャムはそれぞれ活動していきます。

また、パール・ジャムはドラマーのメンバーチェンジが多いバンドなんですが、やっと固定メンバーになったドラマーがサウンドガーデンのマット・キャメロンなんですね(当時サウンドガーデンは解散していた)。

詳しくは映画『PJ20 パール・ジャム・トゥウェンティ』を観てくださいませ。ハンカチ必須です。

パール・ジャムは解散せずにずっと続いていましたが、2010年にサウンドガーデンも再結成することに。あれ? ドラマーのマットはどうするのか?

答え:お互いのバンドのスケジュールを調整することで両方のバンドをやることに。

なんということでしょう。なかなかビッグバンドの掛け持ちなんてできないですよ。バンド同士がお互いを尊重し合ってるからできるんだろうなぁ、すごい。

(ザ・ストーン・ローゼスとプライマル・スクリームは、そうできなかったのか?と思った私がいたことは秘密です)

パール・ジャム『Ten』のジャケ弁

ふたつのバンドがそれぞれうまくいってると思ってたのに、こんなことになるなんて。


追悼ジャケパン&ジャケ弁を制作!

サウンドガーデン、オーディオスレイヴ、テンプル・オブ・ザ・ドッグ、と素晴らしいバンドをやっていたクリスですが、ソロでも活躍していました。1番有名なのは映画『007 カジノロワイヤル』のテーマ曲にもなった『You Know My Name』でしょうか?

今回は追悼で、ソロアルバム『スクリーム』のジャケパン(パンで作るジャケ弁のこと)、そしてサウンドガーデンのジャケ弁を心を込めて作ります!

(1)食パンを用意します。

(2)チョコクリームで文字を書いていきます。

(3)名前を書きます。

(4)人の形のアウトラインを描きます。

(5)ジャムを少し塗ります。

(6)チョコで中を塗っていきます。

(7)最後にアルバム名を書いて完成です!

これは朝ご飯としていただきました。
お昼用にお弁当を作ります。サウンドガーデンといったらこれ! 『バッドモーターフィンガー』!

(1)お弁当箱にご飯を敷きます。

(2)焼き海苔を敷きます。

(3)カマボコ薄く切って配置します。

(4)味噌に漬けたカマボコを三角にカットして配置。

(5)味噌に漬けたカマボコを同じ形にしてカットし、配置。

(6)全部配置しました。

(7)三角にカットした焼き海苔を配置。

(8)その上に小さくカットしたカマボコを配置。

(9)文字の形にカットしたカマボコを配置

(10)文字の形にカットしたパプリカを配置して完成です!

2016年にテンプル・オブ・ザ・ドッグのアルバム発売25周年記念ツアーが開催されていました。2017年になってオーディオスレイヴも一晩だけの再結成もありました。そしてサウンドガーデンのツアー中に、クリスは亡くなりました。こうやって振り返ると、去年から昔やっていたバンドと一緒にやることが続いていたんですね。

テンプル・オブ・ザ・ドッグのツアーを観に行った友人からのお土産ステッカー

彼の歌声も音楽も素晴らしいのですが、アーティストのみなさんのコメントを読んでいると本当に人望があって、愛された人だったんだなと思います。ご冥福を心からお祈り申し上げます。

最後に制作過程を動画にしました。

『JAKEBEN - Chris Cornell Tribute ジャケ弁 追悼クリス・コーネル #ChrisCornell #ChrisCornelltribute』

【著者紹介】

オバッチ(ジャケ弁職人)
本職は印刷関係のデザイナー。料理の腕は人並み、手先は器用。好きなミュージシャンはレイジ・アゲインスト・ザ・マシーン、レッド・ホット・チリ・ペッパーズ、ナイン・インチ・ネイルズ、ベン・ハーパー、岡村靖幸など。いつかザック・デ・ラ・ロッチャさんにお弁当を食べてもらうのが夢です。

[オバッチ(ジャケ弁職人)]