プロフェッツ・オブ・レイジが日本に来たぞ!そだねー! 全3公演をたっぷりレポート
今回はプロフェッツ・オブ・レイジ来日公演スペシャルレポート!
最初に結論から言わせてください。プロフェッツ・オブ・レイジのライブ、最高だった!
ボーカルがザック・デラロッチャ(レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン、以下RATM)じゃないのはどうなんだろう?って気持ちが少しはあったけど、そんな感情なんて吹っ飛ばすレベルのすごいライブでした。
今回は大阪・幕張・名古屋で行われた3公演のレポートをお送りします。
濃すぎるメンバーをご紹介
まずはその“濃すぎる”バンドメンバーをご紹介。
★チャックD(ボーカル)
社会派ヒップホップグルーブ・パブリック・エナミーのメンバーで、ヒップホップ界の大御所。同グループは社会への不満を歌っているグループで、RATMに大きな影響を与えた憧れの大先輩。
★DJロード(DJ)
チャックDが率いるパブリック・エナミーの現在のDJ。同グループでは初代DJのターミネーターXが有名ですが、そのあとを継いで20年近くグループのメンバーとして活躍している。SNSを見てるとわかりますが、陽気でめっちゃいい人!
★B・リアル(ボーカル)
アメリカのヒップホップグループ・サイプレス・ヒルのメンバー。元ギャングだそう(!?)で、大麻解放運動をしている。メキシコ系アメリカ人なので、ザックとルーツが似ている。RATMはサイプレス・ヒルの楽曲をカバーしていて、ステージで共演したり、サイプレス・ヒルのアルバムにRATMメンバーが参加したりとかねてから交流が深い。
★ティム・コマーフォード(ベース)
RATM、オーディオスレイヴのベーシスト。和風のタトゥーが印象的な肉体派。ザックとは幼なじみであり、ティムはザックからベースを習ったという。アメフトやマウンテンバイクが好き。SNSはやっていない。
★ブラッド・ウィルク(ドラム)
RATM、オーディオスレイヴのドラマー。まわりに濃いメンバーが多いこともあり、オバッチ的には渋くて寡黙なイメージが強かった。しかし、最近は交際相手である女優のジュリエット・ルイスとのアツアツっぷりをSNSで公開していたりと、お茶目な一面も。
★トム・モレロ(ギター)
RATM、オーディオスレイヴ、ストリート・スウィーパー・ソーシャル・クラブのギタリストで、自身が歌唱するソロプロジェクト、ザ・ナイトウォッチマン名義でも活動している。どうやって演奏してるんだ!と思うくらい個性的なギターを演奏するスーパーギタリスト。そしてハーバード大学を卒業したエリートでもある。
以上! この6人が来日期間に私の心を鷲掴みにした最強のメンバーである。
笑いの街・大阪に笑いで戦いを挑むトム・モレロ先生
【2018年3月30日、大阪・なんばHatch公演】
ツアー初日だったので会場でグッズを購入。Tシャツ3種・缶バッジセット・ワッペンの全5アイテムでした。
開演予定の5分前にステージにDJロードが登場し、彼のソロタイムからスタート。出だしはアメリカ国歌、そこからパブリック・エナミー、レッド・ツェッペリン、ジミ・ヘンドリックス、ビースティ・ボーイズなどの有名曲で会場を盛り上げていく。メタリカの『スルー・ザ・ネヴァー』とニルヴァーナの『スメルズ・ライク・ティーン・スピリット』で会場は大盛り上がり。約20分のソロコーナーが終わり、その熱量のままサイレンの音が鳴ってほかのメンバーがステージ上に現れた。
ステージ前方にはティム、チャックD、B・リアル、トム・モレロが並び、後方にはブラッドとDJロード。立っているだけで全員のオーラがすごい。1曲目はバンド名と同じタイトルの楽曲『プロフェッツ・オブ・レイジ』。出だしのサイレンの音にドラムとベースが重なり、そこにトムのギターが加わって、チャック・Dが歌いだす。低音のチャックD、高めの声のB・リアル! 2MCの掛け合いも最高。うおーーーーかっこよすぎる!と思って観てたらトムがギターの裏をひっくり返した! なんと今回のツアーでトムはギターの裏面に紙を貼り、そこにメッセージを書いてライブ中に見せるパフォーマンスをしていたのです。
そこに書かれていたのは! 日本語で「もうかってまっか~?」
前方のモッシュから身を守らないといけないそのタイミングに、最大級のネタをぶっ込んで来たトム。ここは笑いの街・大阪! それを逆手にとった資本主義への警告メッセージなんだろうか?(多分違う)
そこからRATMの『テスティファイ』へ。彼らが再結成したライブの1曲目もこれだったな~ああ、またRATMが帰って来たんだ!と思うとこみ上げてくるものがある。ザックの歌をチャックDとB・リアルが歌っているのを観て「曲って死なないんだな。こうやって歌い続けていくことでRATMの曲が今も生きているんだな」と。ザックに近い存在であるふたりが歌うことでまた説得力が出るんだなぁと感じた。
RATMの曲のときはDJロードはステージから下がって……いなかった! DJブースの後ろで客席から見えないように座って、ノリノリで聴いてる! サビの盛り上がるところでは手を挙げて、やっぱりノリノリ!
RATMの3人がステージ脇にはけて、B・リアルが「ヒップホップは好きか? オールドスクールをやるぜ!」と煽ると、B・リアル、チャックD、DJロード3人でのヒップホップタイムに突入。チャック・DとB・リアルが客席の前まで降りて来て、煽る煽る! 交互にお互いの曲をメドレーで歌っていくふたり。ステージでは強面なのに客席に突っ込んでいるときはニコニコしてる。手を差し伸べる観客に次々握手し、B・リアルは頭を撫でるという優しさ! ステージに戻ったふたりが歌い終わるとRATMの3人が登場し、そのまま『スリープ・ナウ・イン・ザ・ファイアー』。そして、オーディオスレイヴの『コーチス』のリフを弾いて終わった。
ヒップホップチームがステージから降り、今度はティム、ブラッド、トムの3人が登場。トムがセンターのスタンドマイクの前に立ち、オーディオスレイヴのボーカリストで2017年に亡くなったクリス・コーネルについて話し出す。「クリスにみんなの声を聞かせてやってくれ!」とスタンドマイクを観客へ向け煽るトム。
そして、オーディオスレイヴの『ライク・ア・ストーン』を3人で演奏。センターのスタンドマイクだけにスポットライトがあたって、そこにクリスがいることをイメージさせるような演出。サビでは自然と観客が歌い出すのがまだ感動的でね、こんなの泣いちゃうじゃないの。
しっとりとした空気のなか、3人が戻ってきて『ノウ・ユア・エナミー』。私たち観客も涙から汗へシフトチェンジだよ。そこからまたRATMとプロフェッツ・オブ・レイジの楽曲へ。最後は空耳「ナゲット割って父ちゃん」も有名な『キリング・イン・ザ・ネーム』! 何年経ってもこの曲のパワーはすごいなぁ。アンコールはせず、観客と写真撮影をしてステージを去るメンバー。最高だ、かっこよすぎるぞ。
これが大阪公演のセットリストです。スタッフが最後にファンに手渡していたものです。
想像の遥か上をいくライブ内容に放心状態のまま、とりあえずあれ食べよう、とマクドナルドへ。
「ナゲット割って父ちゃん」して、この日は終わりました。
メンバー6人が侍になった幕張メッセ!
メンバーのSNSでは大阪公演の前に京都を観光した写真がアップされていて、桜の咲くこの時期の京都なんて最高じゃないですか、とほっこりした気持ちで見ていた。二条城の前で全員でポーズ。トムのコメントが「Six Samurai」だってー!って笑っていたが、この写真は幕張への布石だったのかもしれない。
【2018年4月1日、千葉・幕張メッセ『Vans Warped Tour Japan』公演】
単独公演のお次は、音楽フェス『Vans Warped Tour Japan』での公演。
隣のステージのペニーワイズの演奏が終わる頃、DJブースでDJロードが機材の確認をしていた。
あれ? 赤い? 赤い袴?!!??
大阪公演でのノリノリな彼を見て、京都観光のときに買った袴なのかな?微笑ましいな、と思っていたけれど、まさかあれを全員が着るとは思っていませんでした。
単独公演と異なり、DJタイムはなし。サイレンの音が鳴り響くなか、メンバーがステージ中央に出てきた。
ちょ!ww 全員袴で登場!!!!
友人が叫んだ! 「なんで、チャックDだけ、岡っ引き(※)なんだよー!」 本当だ、チャックDだけは袴じゃない! ピタッとしたのを履いていた。動きにくかったんだろうか?
(※岡っ引き……江戸時代の私立探偵のようなもの)
そして、トムがまたもやギターを裏返した! そこにあった文字は……?
「そだねー!!!」
流行語をぶっこんできた。もうこれ以上笑わせないで。
単独公演とのセットリストの違いは、DJタイムとパブリック・エナミーの曲『ファイト・ザ・パワー』をやらなかった。それ以外はほぼ同じセットリスト。ライブハウスとは異なり、大きなステージで観るとまた圧巻。こんなに大きな会場なのにシンプルなセットで、トムのアンプのサイズなんてこのくらいですよ。
ヒップホップタイムが終わると、袴から洋服に着替えたトムとブラッドが登場。ティムは袴のまま演奏してたけど、だんだん着崩れてきてスタッフが途中で袴を脱がしていた。ヒップホップチームの3人は最後までそのままの和装だった(つまりチャックDはずっと岡っ引き)。
演出といえばステージ後ろのフラッグが入れ替わるくらい。でもそのシンプルさが良い。最小限の演出で最大限のパワーを発揮するのがこのバンドの最大の魅力なんだと思う。
この楽しそうなメンバーを見てください! 和装、似合いすぎですよ! 楽しそうでしょ?
アンコールはなし! ライブ後にはサウンドガーデンの曲が流れていて、彼らのクリス・コーネルへの気持ちがまた伝わってくる。いやー圧倒されるくらいすごいライブだった。大きい会場が似合うな~。
そして最後は“でら最高”だった名古屋!
【2018年4月3日、愛知・Zepp名古屋】
どうやら和装が気に入りすぎたようで、SNSでおもしろ写真を上げまくるご一行。陽気な観光客みたいで最高じゃないですか。
B・リアルの無国籍ファッション、謎だけどかっこよすぎる!
日本を満喫してくれてるんだな。見ているこっちも嬉しくなりますねー。
名古屋のセットリストは大阪とほぼ同じ。DJコーナーからスタート。『ゴジラのテーマ』から始まった。DJロードがInstagramでゴジラ像の写真をアップしていたので、それもあってこの曲にしたのかも? ほかにはエアロスミスとRun-DMCの『ウォーク・ディス・ウェイ』をかけてましたね。ロックヒップホップを融合させたこのバンドにぴったりの選曲。
そして今夜も袴でメンバーが登場! ティムとDJロードの袴の色が幕張と変わってる! 立ち位置的にティムが赤の方がトムと左右対称の位置になるので、色のバランスがいい。リアルは腰紐だけ赤にしていて、配色のバランスが良くなっている。相談したのかな? あと、至近距離で観た友人の話によるとチャックDとB・リアルが小さい安全ピンで和服を止めていたらしい。なんだか可愛らしいですね。
ネタ化したトムのギター裏文字シリーズですが、名古屋では「しゃちほこ」でした!
そして、セットリストは大阪と同じでした。名古屋も最高のライブで、もう感無量。メンバーも最終日だったためか興奮し、ドラムのブラッドが珍しく最後に客席のほうに来てファンと拳を合わせてくれた。
名古屋公演のセットリストはこれです。トムが見ていたセットリストです!
アルバムのジャケ弁も作ったよ!
そして、ツアー中に彼らのアルバム『プロフェッツ・オブ・レイジ』のお弁当も気合十分で作りましたよ。
(1)ご飯をお弁当箱に敷き詰めます。
(2)カットした焼き海苔を配置します。
(3)カットしたパプリカを配置します。
(4)カットしたかまぼこを配置します。
(5)カットした焼き海苔を配置して完成デラロチャー!
音は激しいがすべての方向に優しいチーム
今回のライブを観た方は、みなさんどう感じたのでしょうか? 私は文句の付けどころがないライブだったと思っています。RATMはもちろん、パプリック・エナミー、サイプレス・ヒル、そしてオーディオスレイヴ、どのグループ/バンドのファンの目線から見てもすごく良い内容だったんではないでしょうか?
それはメンバーがお互いをリクペクトしてやっているからなんだと思います。
名古屋の初日、RATMの曲を歌い終わったチャックDが「リスペクト! ザック・デ・ラ・ロッチャ」と小さく言った言葉にすべて詰まっている気がしました。これだけメッセージ性の強い歌をザックの変わりに歌うことの重さを、チャックDもB・リアルも理解してバンドに参加してくれている、その心意気がかっこいいなって思います。
プロフェッツ・オブ・レイジは結成時に、ザックに理解してもらってこのバンドをやっているということをインタビューで読みました。「歌いたくなったらいつでも参加してくれよ」と伝えてあると。
まさにこれですよ!「勇気 忠誠 尊敬」
いつの日か、チャックD、B・リアル、ザックが3人で並んで歌うときが来るかもしれません。そのときが来ることを信じて、今後の彼らの活動を見守っていきたいと思います! 続けることに意味がある!
彼らがまたステージの上で拳を上げるのを、こっちも拳を上げて待っていたいと思います。
ライブ後にスタッフさんが配ってくれたトムのピックを運良くゲットしました! こんなデザインなんですねー。
本当に最高の来日公演でした! 来日してくれてありがとうございました!!
最後にジャケ弁の動画でーす!