「バンドマンの闇営業」タケムラ アキラ(SNAIL RAMP)『炎上くらいしてみたい』

連載・コラム

[2019/7/2 12:00]

1990年代後半から2000年代のバンドシーンを牽引したSNAIL RAMPのフロントマン・タケムラ アキラが書きたいことを超ダラダラ綴っていく新連載!


現在は『名古屋の名門・ホテル長楽』について書きかけなのだが、いま世間を賑わせているのが人気芸人さんたちの「闇営業」ということもあり、「バンドマンの闇営業」について触れてみたい。

芸人さんたちの闇営業、吉本興業の報酬システムにも問題があるから闇営業に走らざるを得ないとか、その場にまさか反社会的勢力の人間がいるとは思わなかったとか、納得できるようなできないような、さまざまな理由もあげられている。でもバーンと売れる前の芸人さんたちであれば、闇営業での収入にたまらない魅力を感じるのは芸人ではない俺にもよくわかる。

さて、ここで我が身も含めて振り返ってみるとしよう。「バンドマンの闇営業」についはどんなモンだろう。そもそも「バンドマンの闇営業」が成り立つには、マネジメント契約をしたバンドである大前提があり、事務所とマネジメント契約をし、売り上げを事務所に納め、何かしらの対価(定額の給料制なり、歩合なり)をもらうという構図が成り立たねばならぬ。

ただバンドにおいて「マネジメント契約が成り立つ」という状態は、すでにそこそこ売れている場合がほとんだ。そうでないとマネジメント契約を結ぼうなどと誰も思わない。そのマネジメント側に内緒で行う「闇営業」はバンドで言うならばやはり「ライブ」だ。しかし芸人さんたちと決定的に違うのは「身ひとつでは行けない」こと。芸人さんたちであれば「衣装」「小道具」があれば、何かしら営業をできる人が多そうだが(できねぇよ!って人もいるとは思います)、バンドマンがライブをやろうとするとそういうわけにもいかない。

最低でも楽器、できれば自前のアンプ、ライブのクオリティをある程度確保するなら、PAオペレーターやローディーといったスタッフも連れて行きたい。さらには「現地にあるモニターの系統、サウンドシステムもチェックしておきたい」となると、「メンバーだけタクシーで行き、サクッと闇営業」とはいかず、「だったら事務所通してライブやるほうが楽だよ……」となってしまう。

となると「闇営業でライブ」をするバンドはむしろ稀で、あるとすればどこかのバンドに自分ひとりだけでゲスト参加、1曲〜2曲セッションして終わりってパターンではなかろうか。でもそんな感じのセッションをやる間柄って、もともと仲のいいバンドだろうからギャラっつってもせいぜい数万円だろうし、その程度で「闇営業」と目くじらを立てる事務所も、まあ珍しいんじゃないかな。(次ページへ)