「名古屋の名門・ホテル長楽その3〜SNAIL RAMPの作り方・24」タケムラ アキラ『炎上くらいしてみたい』
1990年代後半から2000年代のバンドシーンを牽引したSNAIL RAMPのフロントマン・タケムラ アキラが書きたいことを超ダラダラ綴っていく新連載!
このコラム、前回はバンドマンの闇営業について書いたので、ホテル長楽については話がどこまでいったのか忘れてしまっている人がほとんどだろうし、俺もそのひとり。ちょっと復習しようかなって人は、初回を読んでくれたらいいし、「俺は過去なんか振り返らないぜ」っていう男前はこのまま読み続けろ。初回(https://33man.jp/article/column27/007124.html)はおっぱいの話が主なのだが、それでも振り返らなくていい!と断言できる真の男前だけ、今回から読んだらいい。
ホテル長楽にチェックインした俺たちは、5人部屋に通された。畳の上には3組の布団しかなかったが、おっぱいをヒョコヒョコ見せてくるフロントのおばちゃんの説明で、押入れの上下段のそれぞれに1組ずつ布団が敷いてあるのが判明。「確かに5人寝られる……」と、決して飲み込んではいけない食べ物を無理やり飲み込むように、俺たちは納得した。今思えば、あのとき俺たちは大人になったんだ。
俺は畳の上に敷いてある1組の布団に潜り込んだ。格安という言葉でもお釣りのくる宿泊代、粗末な施設、この辺のキーワードから出てくるイメージの布団は「薄い、使い古された、誰のかもわからない髪の毛がついた布団」であろう。確かに薄く年季の入った布団ではあったが、どの布団もわりと綺麗にはされていた。ただ、どの布団も別々に買ってきたのか拾ってきたのか柄が全部違った。
俺のは……風車だった。ふうしゃだよ、ふうしゃ。オランダとかでグイングイン回ってそうな風車。自宅では無印良品で買った生成りのベッドカバーでTOKIO NIGHTをSLEEPINGしていた俺には「風車か……」と思わざるを得なかった。百歩譲って、それがキキララの柄だったとしても寝てしまえばわからない。風車もキキララも一緒だ。しかしその布団で決定的だったのは柄じゃない。丈が異様に足りていなかった。(次ページへ)