「首相のバカさ加減」タケムラ アキラ(SNAIL RAMP)『炎上くらいしてみたい』

連載・コラム

[2020/3/3 17:00]

しかもこの要請って「イベント止めろと言ったからな。これで感染が拡がっても俺らのせいじゃねーから」っていうエクスキューズであって、本気で感染拡大を止めようとなんかしてないじゃん。

そして当初から現政権がコロナウイルスを軽視していた思われる記述が『AERA dot.』(https://dot.asahi.com/aera/2020022500050.html)に掲載されている。

「今回のコロナウイルスの政府の対策会議は1月30日の第1回から2月14日の第9回まで一人の感染症専門家もなしで開かれていた。会議時間は10分から15分。ここで感染症対策についてのテクニカルな議論が深められたと信じる人はいないだろう」(内田樹)

これが事実だとしたら呆れ返る。というか事実なはずだ。なぜなら、確かに2月半ばのニュースで「コロナウイルス対策会議に専門家が加わった」といったものがあったからだ。あのときの強い違和感はよく覚えている。

「は? これまで専門家はいなかったのか? 素人だけが集まって何の会議をやっていたんだ?」

おっさんの井戸端会議じゃねぇんだぞ。日本のみならず、世界的な影響を及ぼそうとしているコロナウイルスへの対策を素人が10~15分話し合って決めてたのか?

で、当然の失敗となったそのツケは民間に押しつけて、ウイルスを何とか封じ込めようとか面の皮が厚すぎる。そして政権への高まる批判にビビり、ようやく安倍首相自ら会見に立ったと思ったら、観た人たちからは「時間の無駄だった」との感想があふれるような内容。記者たちの質問にもまともに答えず「予定時間が大分過ぎたから」との理由で切り上げ帰宅。

ちなみにこの会見は実質36分強だったのだが、ちょっと待てと。「予定時間が大分過ぎたから」ってさ、現在日本にとって最重要と思われる事案の会見をもともと20~30分で済まそうと考えていたのか?

それって、もう記者たちの質問に最初っから答えるつもりないよね? 自分の言いたいことだけ言って(正確には読みたい原稿だけ読んで)、帰るつもりだったのか?

ほかにも「全国の小中学校などへ休校一斉要請」「ジム、ビュッフェへの自粛要請」と、何ともまぁピントがズレたような愚策を連発。ジムやビュッフェなどを名指ししてるけど、似た状況下で不特定多数の人が集まっている所だってまだまだあるだろう。お粗末すぎて気が遠くなるし、休校一斉要請については、

「(小中学校などへの休校要請の決定に際し)直接専門家の意見をうかがったものではない」「私の責任で判断、決断した」(安倍首相)

っておーい!また専門家抜きでやったんかい! 好きだねぇ、そういうプレイ。

「でもこんな難しい局面なのだから仕方ないだろ。誰がやったって対処できなかったはず」

そう思う方もいるかもしれないが、オタつく日本を尻目に見事に対処しているのが台湾だ。武漢からの帰国者対処をはじめマスク不足への対応まで、興味がある人は検索してもらえればわかるが、日本のそれとは違う見事な対処で乗り切ろうとしている。

コロナ対策で言えば、安倍政権は台湾政府のはるか後塵を拝していると言えるだろう。

最後に、ある政治家の言った言葉を思い出したので記しておきたい。

「政治ってのは誰がやっても出来るんですよ、平時はね。優秀な官僚たちが敷いたレールにOK出すだけだから。問題は有事。これに対処できるかどうかが、政治家の本当の能力だ」

※本文は2020年3月2日時点での情報をもとに執筆。

タケムラアキラ

竹村哲●1995年にスカパンクバンドSNAIL RAMPを結成。2000年にリリースしたアルバム『FRESH BRASH OLD MAN』でオリコン1位を獲得するなど、一時代を築く。バンド活動と並行し、2001年からキックボクシングを始め、2014年10月に43歳の年齢でNKBウェルター級チャンピオンに輝く。2015年12月12日には後楽園ホールにて引退試合を行なった。SNAIL RAMPは現在、“ほぼ活動休止”中。