「被害者となったライブハウス」タケムラ アキラ(SNAIL RAMP)『炎上くらいしてみたい』
1990年代後半から2000年代のバンドシーンを牽引したSNAIL RAMPのフロントマンであり、キックボクシングで日本チャンピオンにまで上り詰めたタケムラ アキラが書きたいことを超ダラダラ綴っていく新連載!
前回の今コラムでは「首相のバカさ加減」というタイトルで、コロナウイルス騒動に揺さぶられている現況を書いたが、2020年3月11日現在もそれは何も変わっていない。
休校にされた学校の再開目処は立っていないが、自宅待機になった子供たちの面倒を見るため会社を休まざるを得ない保護者が有休を取りやすいよう、8,330円を上限に会社に対し賃金助成する制度を創設。そして「フリーランスにも補償枠を拡げよう」とここまではよかったが、これが日額4,100円という低額。
全国のフリーランスたちが「バカにしてんのか!? なんで会社員の半額なんだよ!」と怒り出すのが目に見えるような額が閣内で通ってしまうあたり、「これを決めた人たち、フリーランスの言葉の意味を間違えていないか?」と疑いたくなるが、この疑いはあながち間違っていない。
というのも、国で決められた「この額を下回る賃金で人を働かせてはいけませんよ」という最低賃金(時給)なる法律が存在するのだが、例えば一番高い東京だと時給1,013円、最低額は15県にわたって制定されている790円で全国平均に直すと901円だ。フリーランスへの日額補償4,100円をこの時給で割ると、約4時間の労働に対する報酬となり、ちょうど学生がバイトしているような長さの時間となる。おわかりだろうか、フリーランス️→フリーター️→バイト︎→バイトの時間って4時間くらいじゃね?というこちらにしてみると「うっそー!!」と叫びたくなるような連想ゲーム。
「さすがにそれはないでしょ(笑)」と思いたくなるが、「未曾有(みぞう)」を「みぞうゆう」と読んでしまう麻生財務大臣や、天皇、皇后両陛下に対し述べる「国民代表の辞」での漢字の読み間違いのほか、「云々(うんぬん)」を「でんでん」と読んでしまうなど、あまりに漢字が読めないので原稿の漢字にほとんどフリガナを振られているとの安倍首相のやったこと。
「いわゆるフリーランス」と「フリーター」の意味をゴッチャにしてしまった可能性はかなり高いのではないか。もし「そんな間違いをするわきゃねーだろ」と本人たちがおっしゃるのであれば、「会社勤めにゃ8,330円だけど、フリーランスには4,100円やっときゃいいだろ」という意味合いでの額面設定であろうから、「バカにしてんのか!」と怒ったフリーランスたちの反応は正しかったことになる。そう、政権がフリーランスを小バカにしている証左だ。
まあ、その辺の話しを置いといたとしても、現実面でヤバいのはコロナ罹患同様に経済面だろう。イベント自粛による演者、スタッフ、会場などなどはもちろん、通常の小売り、飲食店などびっくりするくらいの売上激減だ。2020年3月11日現在、コロナの影響による企業倒産はすでに8件あるとされており、今後も全国で続出するだろう。それによる自殺者も出るだろうし、もしかしたらそれはコロナでの死者数を上回ってしまうかもしれない。「この緊急事態、安倍政権には早急な財政支出を促したい」などと文末に書くとどっかのくそダサい新聞社説のようになってしまうが、ライブハウスの何軒かもおそらく潰れるだろう。
資本が潤沢でない個人経営のハコは多く、そもそもライブハウスの設営はえらく資金がいる。(次ページへ)