「首相のバカさ加減」タケムラ アキラ(SNAIL RAMP)『炎上くらいしてみたい』

連載・コラム

[2020/3/3 17:00]

1990年代後半から2000年代のバンドシーンを牽引したSNAIL RAMPのフロントマンであり、キックボクシングで日本チャンピオンにまで上り詰めたタケムラ アキラが書きたいことを超ダラダラ綴っていく新連載!


現在は日本のみならず世界中と言ってもいいのだろう、俺たちはコロナウイルスに揺れまくっている。ウイルスに冒されるという直接的な被害はもちろん、その副次的な影響、被害がじわじわという表現が呑気なほどに押し寄せてきた。

それは政府から2月末に発表された内容に端を発す。

「多数の方が集まるような、全国的なスポーツ・文化イベント等については大規模な感染リスクがあることを勘案し、今後2週間は中止・延期または規模縮小等の対応を要請する」(安倍首相)

あー、ついに来たかと思うと同時に「ずいぶん中途半端なことをやるんだな」とも思った。中止を「要請」するのか? 中止命令と中止要請は意味合いが違う。おまけに菅官房長官も「それぞれのイベントの主催者において判断していただく」と、判断を民間に押しつけてきた。

いやいや、ちょっと待てよと。本当にコロナウイルスを封じ込めるために人の集合を止めさせたいならば、「要請」という曖昧さを残さず実質の「命令」をし、素直に従う主催側が負ってしまう金銭的な損害を政府がきちんと補償すべきでしょう。

そもそも、コロナウイルスを水際で止めることができなかった安倍首相率いる日本政府の失策を、なぜ民間が多大な損害を被りながら尻拭いしなけりゃならんのだ。せめて「手前どもの認識不足で、水際作戦は失敗した。かくなる上は、皆さんに血を流して貰ってでも感染を食い止めねばならぬ。本当に申し訳ない」と頭のひとつでも下げてくれりゃ、こちらの気持ちもまた違ったろう。俺たち日本人はお人好しなんだから。

それを野面かまして「イベントは中止してな。すっげえ赤字になるだろうし、借金も負うだろうけど、こっちは要請しただけで決めたのはお前。損失は全部負えよ」って何だよ。キックボクシングの大会運営に関わっている俺に直接関係する「要請」としては、後楽園ホールでの大会中止だろう。各団体で損害額は違うであろうが、平均すると200~300万円といったところだろうか。デカい会場でのライブ中止による損害数億円に比べればはるかに小さい額ではあるが、どこも資金力がある訳ではないのでこの程度の額でも命取りとなる。(次ページへ)