「新生活、音楽・楽器を始めるみなさんへ」タケムラ アキラ(SNAIL RAMP)『炎上くらいしてみたい』
さっそく本題に入ろう。この春を機に「ちょっと楽器やってみようかな」って人は絶対にいる。かつて「なんで決めつけるんですか!」と正面きってキレられた経験がある俺だが、「この春を機に楽器を始めるクラスタ」は存在する、絶対に。
そんな人に俺は声を大にして言いたい。
「楽器を買うな」
いいか、これは絶対だ。
ほぼ万人といっていいのだが、楽器を始めようなんて輩はまず初めに楽器を買う。好きなアーティストが使っているモデル、楽器店に飾ってあるのをひと目惚れ、「どうせあとでいいのが欲しくなるなら、最初からいいモノを」などなどの理由で、タイ米、じゃなかった大枚をはたいて安いもので数万、高いものであればそれこそ100万円近いような楽器を買う。
そして半年後。君がウキウキしながら持ち帰った楽器は、クローゼット奥にある2、3年に1度着るか着ないかのジャケットのさらに奥に置かれることになる。
「じゃあどうやって練習すればいいんだよ!」
そんな悲痛な叫びが俺の耳に届いてきそうだが、実際聴こえてきてたらそれは幻聴なので、俺をすぐに病院に連れて行ってほしい。これは、君のやりたい楽器がギターかベースであるならなおさらだ。10人ほどの友達や知人に声をかければ、誰かしらがほとんど使っていないであろうギターやベースを所持していて「もう邪魔だから誰か持ってってくんねーかな」と思っている。
俺の感覚としては、ギターやベースを購入する初心者の90%は購入後2ヵ月以内にその楽器を演奏する意欲を失い、残った内の5%が高校の文化祭ライブを終えた瞬間に楽器を置き、最後の5%程度が細々とプレイを続け、その内のさらに2%程度がライブハウスなどでライブをやり始めるようなモンだ。
実際「プリンセスプリンセスのコピーバンドをやる!」といきり立った女のコがいきなりギブソンのレスポールを買い、たった1回のライブのみでバンドを終えた例も知っている。これから「よーっし!ギターをやるぞ!」と意気込んでいるアナタには大変申し訳ないのだが、恐らくその気持ちは長く続かない。
だからこそ「資金」という何にでも転用可能なリソースは無駄にせず、最初の楽器は誰かに借りるべきだ。仮に1年や2年といった単位で続くようであればそのときに買えばいいし、そのときには自分の欲しい、もしくは自分に必要な機種がおぼろげながら見えてくるだろう。
思ったより長くなってしまったので、「楽器を手に入れてから、まずやるべきこと」などは次回に書くが、とにかく「楽器を買うな」、これは声を大にして伝えておきたい。