「タケムラ、ライブ中にマジギレ(後編)~SNAIL RAMPの作り方・60」~タケムラ アキラ『炎上くらいしてみたい』
1990年代後半から2000年代のバンドシーンを牽引したSNAIL RAMPのフロントマンであり、キックボクシングで日本チャンピオンにまで上り詰めたタケムラ アキラが書きたいことを超ダラダラ綴っていく新連載!
思った以上に反響のあった『タケムラ、ライブ中にマジギレ』の前編(https://33man.jp/article/column27/011312.html)。今回はそのびっくりした後日談というか続きになるので、前編を読んでいない方はまず前編を読んでいただければと思います。2分もあれば読める内容です。
「前に読んだけど、えーとどんな内容だっけ?」という貴殿向けにザックリ書くと――追手門学院大学で行われた学祭ライブに呼ばれたSNAIL RAMP。ライブがスタートしたのはいいがダイブしてくるキッズを守るはずのセキュリティたちが、事もあろうにダイバーたちに殴る蹴るの暴行を加えはじめた。注意しても止めないセキュリティたちに俺がマジギレ。やつらの頭をベースで叩き割ろうとするも思いとどまり、振り上げたベースをそのままステージに叩きつけ粉砕。非常に後味の悪いライブだった――というのが前編の内容だ。
そしたらさ、なんと今年の正月だよ。タケムラのTwitterにきた1本のDMにマジでびっくりしたね。それがこれ。
なんとだよ!? あの追手門学院大学のライブ現場にいた、しかもダイブしていたキッズのひとりから16年の時を経て、DMがきていたんだよ! こんなことってあるんだなぁ。
自分では、ライブ中のMCでセキュリティの蛮行に触れたかどうかの記憶がかなりあやふやだったんだけど、「MCでも運営側に抗議してくれた」と彼のDMにあるので、俺は何か言ったみたいだね。まあ自分の性格上、イラッとしつつもそのまま流すという大人の対応は絶対にできないので、言ってても何の不思議もないし、むしろ「だろうねぇ」だ。
せっかくなので、ここで彼のDMにコメントをつけていきたい。
>あの時竹村さんがベースを捨て抗議する事となった原因が僕です笑
「セキュリティに暴力を振るわれたキッズに申し訳ないし、自分がステージ上で怒りを見せたことで、後味悪いライブになってしまっただろうな」と悔やんでいた自分だが、DM序盤ながらこの「笑」でいきなり救われた気持ちになりました。
>僕はあの時みんなで初めてパンク系のライブに参加するという事もありかなり気合いが入っておりました!
わかる! 入っちゃうよねぇ、気合。
>1番最初に絶対ダイブしてやる!と意気込み、実際にすぐにダイブしてしまいました。
有言実行。何か可愛い。
>ライブスタッフからチョークスリーパーや蹴りをくらってしまいました!僕自身は特にその事は気にはしていなかったのですが
メンタル強い。多少気にしろ。
>ライブで調子に乗ったクソガキの僕をかばってくれMCでも運営側に抗議してくれた事は今でも本当に感謝しております。
調子に乗れるのが青春のいいところで、それがライブ。「かばう」とかではなく、君は当時のスネイルのライブでの楽しみ方をまっとうしただけで、悪いことなんて何ひとつしていないのだ。
>そこからsnail rampのライブは何度か参加させて頂く程ファンになりました!
何度かではなく、もっと来い。
>レコード会社のメールの方でお礼の気持ちはお送りさせて頂いたのですがちゃんと届いているのかもわからず
これがさー、俺のトコには届いていないんだよね……。
>本当にあの時はありがとうございました!少し痛い思いはしましたがあの日の事は僕にとってとてもいい思い出として残っております。
お礼を言いたいのは俺のほうだよ。この言葉には本当に救われました。あの2006年のライブから16年経っても、あのライブを思い出すたびになーんか「ズーン」とした重い気持ちになってしまう自分がいたけど、このDMによってそれもなくなりました。「あのとき、あの瞬間には解決できなかった問題だったけど、何とかしようとした気持ちはキッズに通じていたんだな」と、えらくホッとした気持ちです。そして最終的には「いい思い出」として残してくれた、これは俺にとって何にも代えがたい幸せです。
>いつかまたタケムラさんがベースを引いている姿を見れる事を楽しみにしております!
ベースは引きずらないで、弾くかクソなセキュリティの頭をぶん殴るモノだけどな。
2006年、ライブ中にマジギレしてから16年越しのストーリーはここでいったん終了。でもまた新たな展開をみせるかもしれないのが人生だからね、次はあのときのセキュリティからDMがきたりして。
そのときはまたすぐにみんなに報告するわ。じゃー、また次回のコラムで!