ANZEN漫才・あらぽんの『アダチニスト〜足立区ストーリーズ〜』第2回:駄菓子屋でのストリートファイト(後半)

連載・コラム

[2018/6/15 12:00]

足立区で生まれ育ったあらぽん(ANZEN漫才)が足立区のリアルをつづっていく新連載!


ひやまくん vs ガリ勉くんのリアルストリートファイト

(前回からの続き)僕が7歳から8歳の頃に行ってた駄菓子屋さんはおじさんとおばさんがふたりでやっていた『ヤマザキ』。オプションは『ゲーム』『アイス』『パン屋』『カップラーメンお湯あり』だった。

その日もいつものようにお店に行くと、ゲームには3人くらいの予約。待っていたら門限が過ぎちゃいそうだからおこづかいの100円を駄菓子につっこむことにして、ほかの人がゲームをやっているの見てようかなと思ったら、『ひやまくん』と『ガリ勉くん』が殴り合いの喧嘩をしていたのだ。

ここで、ひやまくんとガリ勉くんの説明。

【ひやまくん】
・団地に住んでいて、年齢が中学生くらいで相当なワル。
・家族が吸っているのか家が半端じゃなくたばこ臭く、新撰組のアニメ化されたキャラクター?みたいなのれんが玄関の入り口にかかっている。
・とにかく年下をパシりにして威張りまくっていた。
・いつもメリケンサックをはめていた。というか当時流行る武器は必ず持ってた。

【ガリ勉くん】
・名前は知らないけどみんながそう呼ぶ人。
・眼鏡をかけていて毛量が多めの雑なテンパー。見た目がその名のとおり。
・あんまりしゃべらないけど優しくてゲームが大好きな人。

こんな交わりのないふたりが殴りあいの喧嘩をしていたのだ。何があったのか近くにいた人に聞いてみると、ガリ勉くんが目を離した隙に、ひやまくんがガリ勉くんの予約の60円(ゲーム3回分)を盗んでブタメンを買ったとのこと。確かに、ゲーム機の上にはふたが開かないようにフォークがさされた、お湯そそぎたてなブタメンがあった。

塾に行く前の楽しみであるゲームの時間を害されたガリ勉くんのキレ方が激しく「60円返せ!返せ!」と殴りまくるガリ勉くんにひやまくんが押されていて、「もしかしてひやまくん泣く!? いや、ガリ勉くん泣かせ! ひやま泣かせ!」と心の中でみんなが思った瞬間……ひやまくんがゲーム機の上にあったぶためんを持ち「じゃ返してやるよ!」と言いながら熱々のぶためんの汁&容器もろともぶん殴った。

ガリ勉くんの顔とひやまくんの拳で潰されたブタメンは汁も麺も飛び散り、容器は大破。ガリ勉の顔には麺と若干のゴマがついていた。ひやまくんの思わぬ攻撃に一気に戦意喪失したガリ勉くん。まわりにいたオーディエンスもひやまくんの喧嘩センスに圧倒され、気がつくとガリ勉くんはひやまくんに馬乗りにボコボコにされていた。

騒ぎを聞きつけてガリ勉くんのお父さんが助けに来た。ガリ勉くんはTシャツがビリビリに破けたままお父さんに羽交い締めされて連れて行かれ、一方のひやまくんは鼻血は出してはいるが余裕で何事もなかったかのように違うゲームをやり始めた。

辺りにはブタメンのスープのいい香りが漂っていた。いまでもぶためんにお湯を注ぐたびこの事件を思い出す。

小学生のあらぽん。『ストリートファイターII 』に夢中

あらぽん

1985年10月13日生まれ、東京都・足立区出身。幼馴染のみやぞんと2009年11月にANZEN漫才を結成。みやぞんの特技であるギター、そしてあらぽんのラップを組み合わせた音ネタで活動するようになり、『足立区の歌』などのネタで注目を集める。『とんねるずのみなさんのおかげでした』『世界の果てまでイッテQ!』などでみやぞんの激烈天然キャラが爆発して話題となり、今や大注目コンビのひとつとなっている。