悲劇と裏腹に心和む良ジャケ/オールマン・ブラザーズ・バンド『ブラザーズ&シスターズ』 平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)連載
音楽と絵画を愛するお笑い芸人・平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)が美術館の館長となり、自身が所持する数々のCDジャケットのなかから絵画的に見て優れているもの、時に珍しいものをご紹介する連載。
第6回:悲劇と裏腹に心和む良ジャケ オールマン・ブラザーズ・バンド『ブラザーズ&シスターズ』
第6回にご紹介する作品はこちら。
オールマン・ブラザーズ・バンド『ブラザーズ&シスターズ』(1973年)
アメリカ南部の土臭い空気感を内包したロック、いわゆるサザンロックの代表格として君臨していたバンド、オールマン・ブラザーズ・バンドの5作目のアルバム。このバンド自体の最大の魅力は何と言ってもギタリストであるデュアン・オールマンの艶やかなスライドギター。かの有名なエリック・クラプトン率いるデレク・アンド・ザドミノスの名曲『いとしのレイラ』(1970年)のギターソロも彼が弾いている。そのデュアンのギターの魅力が存分に味わえるオールマン・ブラザーズ・バンドの3作目『フィルモア・イースト・ライヴ』(1971年)もぜひ聴いていただきたいのだが、この連載の主旨はステキなジャケットを紹介することなので『フィルモア・イースト・ライヴ』の話などどうでもいいのである。
『ブラザーズ&シスターズ』は、実はそのデュアンと同バンドのベーシスト、ベリー・オークリーの事故死という悲劇を乗り越えて制作されたアルバムだが、バンドの代表作と言われるほどの完成度と売り上げを誇っている。もちろん個人的にも好きなアルバムなのだが、やはりオールマンの真髄を知るのなら『フィルモ ア・イースト・ライヴ』だと思うのでぜひ『フィルモア・イースト・ライヴ』を聴いてほしい。ただこの連載の主旨はステキなジャケットを紹介することなので『フィルモア・イースト・ライヴ』の話などどうでもいいのである。
さて、『ブラザーズ&シスターズ』のジャケットに写っているのは撮られていることなど気にも留めていないような無邪気そうな少年。彼は同バンドのドラマー、ブッチ・トラックスの息子。シンプルなジャケットだが自然と子どもというモチーフと全体の色合い的に非常に心和むジャケットだ。さらに裏表紙には亡きベリー・オークリーの娘の写真が。
これまた和む。
そしてブックレットの見開きにはバンドメンバーと関係者の親族大集合の写真。
もはや犬にまで登場されちゃ和まないわけにはいかないでしょうよ。
とまあ何だか家族の思い出の写真アルバムのようだが、カントリー色の強くなった音楽性ともマッチしていてとてもいいジャケットだと思う。音的にも普段ロックを聴かない人にも耳に馴染みやすいと思うので、オールマン入門者にもお勧めできる1枚だ。ただ個人的には『フィルモア・イースト・ライヴ』でのデュアンのスライドギターの心地良さを知ってもらいたいので『フィルモア・イースト・ライヴ』もぜひ聴いてほしい。ただこの連載の主旨はステキなジャケットを紹介することなので『フィルモア・イースト・ライヴ』の話などどうでもいいのである。『フィルモア・イースト・ライヴ』の話などどうでもいいのである。『フィルモア・イースト・ライヴ』(1971年)。