クリスマスとの相性抜群の名盤/MR.BIG『ディープ・カッツ〜MR.BIG バラード・ベスト~』 平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)連載
音楽と絵画を愛するお笑い芸人・平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)が美術館の館長となり、自身が所持する数々のCDジャケットのなかから絵画的に見て優れているもの、時に珍しいものをご紹介する連載。
第22回:クリスマスとの相性抜群の名盤/MR.BIG『ディープ・カッツ〜MR.BIG バラード・ベスト~』
今回ご紹介するのはこちら。
MR.BIG『ディープ・カッツ〜MR.BIG バラード・ベスト~』(2000年)
なぜか毎年やってくるクリスマス。今年もどうやらやってきたようで。
みんなリトルツインスターズことキキララの誕生日(12月24日)はお祝いしたかな? ちゃんとおめでとうメッセージ送ってあげてね。キキララのTwitterもあるからね。そもそもキキララとは1975年にサンリオのキャラクターとして生まれ、ハローキティやマイメロディと並び常にサンリオの看板キャラクターとして人気を保ち続けてきた日本のKAWAII文化を代表する偉大なキャラクターなのである。おそらく子どもの頃に誰もが(特に女の子は)キキララのグッズを通ってきたと思うが、大人になってまで手にするようなものじゃない、むしろいい大人がキキララ好きってちょっと、と思っている人も多いと思う。
しかしこのストレスと憎悪にまみれた現代社会だからこそ我々が求めるのは心の解放。少しでも現実を忘れさせてくれる癒しの存在。それを求めてペットなどを飼う人も多いが、僕はそんな人にこそキキララを、サンリオを勧めたい。天使のような無邪気なふたりが遊んだり詩を読んだりお料理をしたり踊ったり……。ただそれだけ。ただそれだけで我々をこのただれた現実から理想の天国へ連れて行ってくれるのだ。
大人になるとシンプルイズベストの意味が理解できるようになる。「はじめてのおつかい」で泣いちゃうのはまさにそういうことだ。つまりサンリオとは子どものものというイメージは実は間違っていて、大人になったからこそ理解できる魅力があるのだ。
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主旨。
さて、せっかくのクリスマスということなので、今回は僕からのささやかな押しつけプレゼント的アルバムをご紹介したいと思う(あれだけ連載と関係ないことをだらだら書いても全然怒らないリットーミュージックさんはやっぱりちょっと変だと思う)。
MR.BIGというバンド、ロックに興味がなくても聞いたことくらいはあるかもしれない。1989年にデビューしたアメリカのハードロックバンドである。メンバー全員がそれぞれの楽器における達人的テクニカルプレイヤーという、まさにスーパーバンドである。ことテクニックにおいてMR.BIGより上をいくバンドは存在しないかもしれない。そんな連中が揃えばすごいものが生まれるのは当然で、ヒットを連発し紆余曲折ありながらもなんだかんだ順調に活動を続けていた最中、残念なことに2018年初頭にドラマーのパット・トーピーがパーキンソン病の悪化で亡くなるという悲劇に見舞われてしまう。おそらく解散はしないと思うが、代わりのきかない唯一無二のプレイヤーだっただけに今後どうするのか心配なところである。
そんなMR.BIGだが、やはり曲作りの才能も素晴らしく、アップテンポなロックンロールナンバーから哀愁のバラードまで名曲を挙げだしたらキリがない。今回はそんな彼らのバラードのみを集めたベストアルバムをお勧めさせていただこう。別にこれ明確にいえばクリスマスアルバムというわけではない。ただ、彼らの作るバラードはいかにもアメリカのハードロックバンドらしいスケールの大きいパワーバラードというより、全米ナンバーワンヒットとなった『トゥ・ビー・ ウィズ・ユー』をはじめ、どちらかというと温もりを感じるアットホームな雰囲気のバラードが多いのだ。そのため、そんな彼らのバラードを集めたこのアルバムは個人的にすごくクリスマスシーズンに合うアルバムだと思っている。
ジャケットがまたいい。温もりを感じる木の額縁のなかにセクシーな美女。額縁に収まっているせいか美女の視線は自分ひとりに向けられているような気になってくる。しかし柵のようなものに阻まれているため手は届かない。このもどかしい距離感。下品なエロではなく上品なエロス。この適度にアダルトな雰囲気がMR.BIGのバラードの真髄をよく語ってくれている。またシーリングスタンプがギフトチックな雰囲気までも醸し出していて、一層クリスマスとの相性のよさを感じさせる。
クリスマスの夜を恋人と過ごす人もひとりで過ごす人も、キャンドルやシャンパンともよく合うこのアルバムをお供にいかがだろうか。
それではみなさん、
メリークソスマス。