悪いのは彼らではなく時代なのである~ヨーロッパ『ザ・ファイナル・カウントダウン』~平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)連載
音楽と絵画を愛するお笑い芸人・平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)が美術館の館長となり、自身が所持する数々のCDジャケットのなかから絵画的に見て優れているもの、時に珍しいものをご紹介する連載。
番外編〜残念なジャケット〜(第146回):悪いのは彼らではなく時代なのである
昨今はディスクユニオンでだせぇジャケットはねえかだせぇジャケットはねえかと目を光らせてCDを漁る日々の私。とっても性格の悪い探し方だが、どうか誤解しないでほしい。
すべてはこの連載の番外編で悪口を言うためなのだ。
というわけで今月の残念なジャケットはヨーロッパのバンド、その名もヨーロッパを。
ヨーロッパ『ザ・ファイナル・カウントダウン』(1986年)
アメリカ、ボストン、エイジア、チャイナ……。地名をそのままバンド名にしているパターンは多いが、それでかっこいいバンド名を聞いたことがない。しかし成功者は多い。そのなかでもヨーロッパなどは大成功者と言っていいクラスだろう。彼らはスウェーデン出身のバンドで、キーボートを積極的に取り入れた煌びやかなサウンドと美しいメロディ、透明感のあるボーカルで、いわゆる北欧メタルと呼ばれるジャンルの様式美的要素を打ち出した元祖的存在とされている。
そのなかでもこの『ザ・ファイナル・カウントダウン』は世界的に爆売れした非常に有名なアルバムで、特にタイトル曲はキーボード主体のリフとしてはヴァン・ヘイレンの『ジャンプ』と並ぶロック界でも有名なリフのひとつである。
実際爆売れしただけあって内容的にも充実した作品で、いかにも1980年代チックな音作りは個人的には好みとはいえないが、各曲のレベルは高い。彼ららしいサウンドも守りつつポップなメジャー感も兼ね備えている聴きやすいアルバムである。
だがジャケットはチープなコミック本の表紙みてえだ。
まあ結局時代というか、1980年代というのは彼らに限らず皆なぜか様子がおかしく、ジャケットやファッション、他いろいろな面において珍妙なセンスが世を席巻していた時代なので、そんな時代を生きた彼らもまた珍妙色に染まるのは仕方のないことなのかもしれない。ただ同じ1980年代の彼らのアルバムでもファーストアルバム『幻想交響詩』などはとても良いジャケットなのだが。
なので悪いのは彼らではなく時代なのである。でけえ肩パッド、ぶっかぶかのジャンパー、犬2、3匹乗っけたような髪型。
オシャレなわけねえだろ!
また来週。