竹下幸之介(DDTプロレスリング)の『ニシナリライオット』第17回:「俺は泥まみれなんじゃない。うんこまみれなんだ」

連載・コラム

[2019/9/27 12:00]

女性陣の悲鳴が響く校庭を背に、とぼとぼトイレに歩いたことは一生忘れられない。これが1回目。

2回目はそれから3年後。もう6年生だ。

喋ることは3年に1回しかなくとも、友達づてでメールアドレスは入手しておりときどき文通をしていた。内容は些細なものだったと思うが、返信率は.225くらいのものでプロ野球選手だとなんとか1軍に残る程度のものだった(メールの返信率としては戦力外)。

なので初恋からのメールだけ着うたをウルフルズ『泣けてくる』に設定していた。歌詞がピッタリだったのだ。

それが何かのときに初恋にバレてしまい、抜き打ちで検証されてしまった。みんなで公園に集まっているときに突然、初恋が私にメールを入れる。

なんだか泣けてくる 思わず泣けてくる
なにげない言葉が うれしい帰り道
なんだか泣けてくる おもわず泣けてくる
明日もがんばろうぜって 笑って歩き出す

「なんで泣けてくるん?www」

初恋が私に粋な質問を振ってくれた。心の声では、

「メールが届くとそれくらい嬉しい。泣けてくるくらい嬉しいんや」

と言いながらも

「んーー。。。わからん!」

クソみたいな回答だった。

結局卒業するまではこのふた言しか喋らなかった。

「ちょっとトイレ行って洗って来るわー!」
「んーー。。。わからん!」

このふた言。そりゃ想いも何も伝わらない。

これを読んでいる若者に私からアドバイスを送ろう。

敗北を恐れずに気持ちを伝えることを重視するんだ。
時には敗北にも震え結果を欲しろ。
ここでの敗北はフラれることではなく、行動を起こさないことだ。

小学生の私は本当の意味でLOSERだった。

初めて買ったipod。最初に入れた曲はウルフルズ『泣けてくる』

竹下幸之介

1995年5月29日生まれ、大阪府大阪市出身。身長187センチ、95キロ。現役高校生レスラーとして2012年8月の日本武道館大会でデビュー。高校卒業後、日本体育大学へと進学し、学業とプロレスの両立に励み、2018年3月に無事卒業した。卒論のテーマは『ジャーマン・スープレックス』。2018年4月に入江茂弘に敗れるまで、KO-D無差別級王座11回防衛の最多記録を樹立した。地元西成への愛が深く、2018年大みそかの『年越しプロレス』には、「西成魂」の刺繍が入ったオーダーメイドの特攻服をわざわざ作って参戦。“西成のエリートヤンキー幸之介”として愛されている。