竹下幸之介(DDTプロレスリング)の『ニシナリライオット』第18回:「“握り潰したる!”と叫ぶおっさんレザーフェイスに15分以上追いかけられた」

連載・コラム

[2019/10/11 12:00]

DDTプロレスリングの未来を担う若き逸材・竹下幸之介。そんな彼が自身の昔のブログを読み返しながらつづる、地元・西成のお話!


2007年05月11日

289話『あなたの記念日にハウマッチ!!』というフレーズが頭から離れない1日を書いた

今日は学校で避難訓練がありますた!!
僕はこう見えてそういう訓練系はきちんと真面目にやります!!
他の人の目にはどう映ってるかわかりませんが...
それから、家庭訪問で短縮授業の期間しか遊べないGGKと遊びに行きますた(*^_^*)
なんか最近、僕の学年の女子達は"おばけ"が見えるらしいです( ̄◇ ̄;)
フッ!!
と始め聞いた時は鼻で笑ってしまいましたが、本当にこげこげ君の後ろに見えるらしく、号泣する女子が...
泣く所を見てると少し僕も焦りました(-_-;)
それをきっかけに...
『もう嫌!!』
と言い仲間割れし家に帰ってしまう女子も...
その中央公園と言うのは、首吊り自殺した人もいたという噂の公園で少し怖い(-_-)


私が1億円という資金を与えられ、好きなように映画を撮っていいと言われたならば間違いなく『西成・オブ・ザ・デッド』のタイトルでゾンビ映画を撮る。あいりん地区でゾンビが発生し機動隊が出動するもゾンビとおっさんの区別がつかずに苦戦するというアクション映画。最終的には暴動を起こしたホームレスと、西成警察が和解し協力体制の末、無事に西成を救う感動のストーリーである。

現実とファンタジーが混沌とする街・西成。やはりこういう街で育つといわゆるオバケと呼ばれるものの部類は怖くない。決して怖いものなしというわけではなく、むしろ怖がりのほうで。

天王寺動物園に友達と行った際には、入り口前の道路でベロベロのおっさんに絡まれたときが本当に怖かった。

「お前たちはこの国の害虫じゃ! 握り潰したる!」

と、何十個ものワンカップ大関の空き瓶を投げつけられ、友人の方はそのうちのひとつが当たってしまい、額から流血。

「握り潰すんやったら、空き瓶投げんなやー!!」

こいつ変なキレ方するなーと内心思いながらも一緒に、おっさんレザーフェイスに追いかけられていた。15分以上追いかけられ(酔っ払いのくせしてすごい持久力)気づいたら動物園のなかにいてゾウの檻の前に来ていた。世にも奇妙な話である。無銭入場になるのだろうか。ゾウが珍しく「パオーーン」と鳴いたので、歓迎してくれているからまあいっかとなり1日中動物園を楽しんだ。

こういう日常に比べるとどうもホラー映画などでは刺激が足りない。ましてやオバケといわれても、実際にいるのかどうかもわからないものを怖がりようもない。対するおっさんレザーフェイスは実際にいるのだから怖い。

これは余談だけれども、そのときの友人と今年の春に久しぶりに会って、高校卒業ぶりに話をしたとき、

「おれ、裸眼舐められるのが好きになって。彼女にいつも舐めてもらってたら、1.0あった視力から1下がってん!」

と笑いながら話していた。

「えっ! ほんだら今、視力0やん! じゃあおれの顔とか見えてないの?」

「見えづらいなあ」

「見えてるやん」

怖い。怖すぎる。オバケが実在したとしても絶対にこいつのほうが怖い。オバケも黙る西成の人々。(次ページへ)