『あつまれ、バンドマン芸人!』Hi-Hi編〜お笑い界で唯一の(!?)リズム隊コンビ

連載・コラム

[2016/6/17 11:45]

お笑いのステージに立ちながら、バンドマンとしてライブ会場を沸かせる芸人たちがいる。今回紹介するのは、2011年のTHE MANZAIでブレイクを果たしたお笑いコンビHi-Hi。なんと彼らは、お笑い界でも類を見ないベーシスト&ドラマーによる“リズム隊芸人”なのである!

Hi-Hiさん、よろしくお願いします!

お笑い界で唯一の(!?)リズム隊コンビ ブルーハーツのコピバンでバンドデビュー!

上田浩二郎(上写真・左)と岩崎一則(右)は、お笑い芸人になる前はバンドのベーシスト、ドラマーとして活動していた。“リズム隊によるお笑いコンビ”という響き……これは音楽・楽器ファンはかなり気になるのではないだろうか。

高校の同級生だったふたりは互いにザ・ブルーハーツのファンだったことで意気投合し、コピーバンドを結成。初めてコピーしたのは同バンドの『NO NO NO』だったそう。ちなみにふたりとも中学で楽器を始めており、上田は中学3年のとき「弦が4本で簡単そうだから」との理由でベースを始め、岩崎も同じく中学3年のときにドラムセットを持っている友人の影響でドラムを始めたそうだ。

高校時代のふたり。若いっ!岩崎さんの髪の毛!

高校時代の学園祭の写真。上田さん、ベンジーみたいでかっけぇ!ドラムはもちろん岩崎さん

ハードコアバンド“ザリキラー”で活動 S.O.Bのライブは全部行くくらい好きだった

高校卒業後、上田は音響系の専門学校へ進学、岩崎はトラックの運転手となったが、上田が学校の仲間、そして岩崎に声をかけてバンド“ザリキラー”を結成。当時、特に上田がハードコアにハマっており、ザリキラーもハードコアバンドとして活動していたという。
「ライブは渋谷でよくやってました。オリジナルもやってたし、FEARLESS VAMPIRE KILLERSのカバーとかもやってましたね。当時、『DOLL MAGAZINE』っていう雑誌があって、それを読んでるうちにLip CreamとかS.O.Bとかその辺を聴くようになって。S.O.Bの都内のライブは全部行くくらい好きでした。COCOBATとかNUKEY PIKESとかも前座で出てたり、かなりアツかったですよね。そのあともヌンチャクとかハイスタ(Hi-STANDARD)とかBACK DROP BOMBとか激しいヤツはいろいろ聴いてきました」(上田)

ザリキラー時代のふたり

上田さんなぜかドラムを叩く。岩崎さんの髪の毛!!!

ザリキラー解散で芸人になるも……クビに! メロコアバンド“ガムガムスリーチャンネル”結成

上田らの専門学校卒業と同時にザリキラーは解散。そして「お笑いならふたりでもできる」という安直な理由で吉本興業に所属するも、「とにかくスベりまくって」2年ほどでクビになってしまう。そしてまたふたりは……バンドの道を選ぶことに!
「クビになってやることがなくなっちゃったんで、元芸人のギターボーカルとヒクソン(・グレイシー/格闘家)みたいな謎のダンサーがいるメロコアバンドをやったんです。“ガムガムスリーチャンネル”っていう名前で。いろいろバンドをやってたパンチユーホーさんのイベントに呼んでもらったりもして、ロリータ18号と対バンしたこともあったり。でも、パンクバンドじゃ売れないからミスチルみたいな曲をやろうってことになったんですけど、ボーカルの歌がヘタすぎて……(笑)。デモテープをレコード会社に送ったりもしたんですけど、全然連絡もないし。それでもう無理だなって自然消滅ですね」(上田)

久しぶりのスタジオが楽しそう

そして再びお笑いの道へ! バンド活動もちょこちょこ続ける

またまたふたりになってしまった上田と岩崎は、「ふたりならやっぱりお笑いだなっ!」とケイダッシュステージに所属。26歳のときだった。「本当にめっちゃ短絡的。バカでホントに何も考えてなかったですね」(岩崎)
その後もバンド的な活動はたびたび行っており、2003年には事務所の先輩であるはなわが横浜アリーナで行ったライブにバックバンドとして参加。上田はギター(ギターも少し弾ける)、岩崎はドラムを担当。さらに福山雅治もギターで参加した。ほかにもはなわがテレビで出た際のバックバンドや、ゆってぃらと“東京監獄固め”というバンドでライブを行ったりもしていた。

久しぶりのスタジオがめっちゃ楽しそう!!!

好きなプレイヤーは!?

そんなふたりにベーシスト/ドラマーで誰が好きなのか聞いてみた。
「スラップが好きで、ずっとスラップ練習してたんですよ。ストラップを下げてやるタイプのスラップ。好きなのはCOCOBATのTAKE-SHITさん。あとレッチリ(レッド・ホット・チリ・ペッパーズ)も好きだからフリーもめっちゃコピーしました。TAKE-SHITさんは生でよく観てて、ガリガリの音でスラップするのが超カッコよくて。あとはウッドベースのスラップも好きですね。GRUBBYのYAMAMOTOさんのプレイとかめっちゃ好きでした」(上田)

スラッパー上田! ※ベースはスタジオのもの

上田さんのマイベース。高校のときに購入したフェンダー・ジャパンのプレシジョン・ベースだ ※本人撮影

「ユニコーンの川西(幸一)さんのスタイルがすごく好きでしたね。シンバルの位置をめちゃくちゃ高くして、大きく動くんだけど、なんかスタイリッシュでカッコよくて。タムもひとつしか使わないのをマネしたり。そのあとはパンテラにハマって、“ドラムにも重い音がある!”っていうのを初めて知ったんですよね。“テクニックじゃなくてパワーだ!”みたいな世界観がカッコ良いなって思って、スティックをわざわざ逆に持って思いっきり叩いてました」(岩崎)

8ビートが気持ちいい岩崎さんのドラム

そんなふたりの演奏は、2012年に発売されたDVD『靴』でも楽しめる。2012年6月9日に渋谷のシブゲキにて行われた単独ライブ『靴』の模様を収録した映像作品だが、同公演のオープニングでゲストギタリストにROLLYを加え、バンド演奏を行った。上田の軽快なスラップ、岩崎のパワフルなドラム演奏が楽しめるぞ! 要チェック!

Hi-HiDVD『靴』(2012年)

お笑いにも役立った“リズム感”

最後に、バンドをやっていたことがお笑いにどのように生かされているのかを聞いてみた。すると、いかにもリズム隊らしいグルーヴィなコメントが返ってきた。

「やっぱりお笑いもリズムが大事だから、その部分はすごい良い影響があると思います」(岩崎)

「確かに、“ツッコミをワンテンポ送らせてくれ”とか“あと0.2秒くらい早く”とかけっこう細かく打ち合わせたりするもんな。“ロボットっぽい”っていうツッコミがほしいとき、“もっとタタンタンタンって感じを強く出して!”とか話したりもして」(上田)

「あとは語呂のリズム感もけっこう気にしてます。3文字か5文字の言葉のリズムが気持ちいいんですよ。そういう感覚はバンドやってて良かったって思います」(岩崎)

これからも息の合った笑いを

今回はバンドのリハーサルスタジオで取材をさせてもらったが、久々のセッション(!?)となったふたりは、照れつつもステキな演奏を聴かせてくれた。何度バンドが解散しても彼らはずっと一緒の道を進んできたわけだが、取材時の熟年夫婦のようなほのぼのした雰囲気から、ふたりの人間的な相性の良さがビシビシと伝わってきた。楽器の演奏に関しては「全然ノリが合わない……」とのことだが、これからも息の合ったお笑いでみんなに笑顔を届けてほしい!

HiHiさん、あざっした!

出演情報などはオフィシャルホームページをチェック!!

[Oh!Lee]