【社長と音楽】ロカビリー好きすぎ社長を直撃! 燻製調味料パイオニアの“尖った”お仕事&音楽観に迫る!!

特集・インタビュー

[2016/12/20 12:00]

“液体を燻製する”という独自の技術で燻製醤油、燻製オリーブオイル、燻製マヨネーズなどさまざまな商品を開発しているかずさスモーク(株式会社リオ)。食文化に新しい発想をもたらした同社の商品はテレビ番組『有吉くんの正直さんぽ』(フジテレビ系)でも紹介され、多方面で話題を呼んでいます。そんな同社の社長がロカビリー好きだという噂を聞きつけた『耳マン』が、早速お話を聞いて来ました!

私物のレコード持参でロカビリー愛をアツく語る!

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———今回は社長が大のロカビリー好きということをお聞きしたもので、インタビューさせていただきたいと思います。私物のレコードをご持参してくださったんですね!

今日持って来たものはディスク的に価値があるかどうかっていうのはまた別なんですけど、それぞれ思い入れがあるものばっかりなんですよ。これ(写真右下)はシャレで持ってきたんですけど、『キッスは目にして!』を歌ってるザ・ヴィーナスのレコード『LOVE POTION No.1』で、これもロカビリーのひとつなんですよね。で、一番好きなのはコレ(写真下段中央)! エディ・コクランはもう俺のなかで神様的な存在で、無人島に行くとしたら持って行きたいくらい好きなレコード。でね、なかなかコレも……あれ? 座りませんか(笑)?

———思わず立ち上がったまま聞き入ってしまいました(笑)! ところで社長がロカビリーを好きになったきっかけは何だったんですか?
小学5、6年生のときにクリームソーダっていうロカビリー系のファッションブランドが友達の間で流行りだして、それがきっかけなんです。俺は千葉県の木更津市出身なんですけど、木更津から原宿にあるクリームソーダの路面店まで友達と行ったりしてましたね。そんななかで、姉貴が好きだったキャロル(写真下段左)なんかを聴いていたりして、出会ったのがエルヴィス・プレスリー(写真上段中央)なんです。

エルヴィス・プレスリーから始まったロカビリーとの出会い

———プレスリーに出会って、ロックやロカビリーにのめり込むように?
そうですね。エルヴィスを好きになって彼のことを研究していくと、アメリカのメンフィスから出て来た人なんだとか、白人音楽と黒人音楽を合わせたものがロカビリーなんだとか、そういうことがわかって。音楽の開拓時代っていうのかな、そういうものを感じさせてくれたのがエルヴィスだったんですよね。彼の精神性や音楽的な部分にすごく愛を感じて、好きになりました。それにロカビリーが全盛だった1950〜60年代ってアメリカがバブルの頃じゃないですか。ガソリンだって無限にあると思われてた時代だと思うし、バイクもビッグエンジンのものをドカドカ乗るし、ギターは電気になって、っていう。そういう時代背景も含めて、爆発的なパワーを感じるんですよね。その時代の、エディ・コクランだったりバディ・ホリーだったりジーン・ヴィンセントだったりっていうのが……もう俺のなかですっごい焼ァけ付くッくらい好きなわけですよ(力強い口調で)!

———音楽を飛び越えて精神性や時代背景も含めて、ひとつの文化としてお好きなんですね!

大好きですねぇ。で、ロカビリーを追い求めていくうちに出会ったのがストレイ・キャッツ(写真中段すべて)。ネオロカビリーというものに出会ってしまうわけです。先ほど挙げたエディ・コクランなどに始まるロカビリーが、エレキギターっていう近代的なものに加えて、生ドラムとウッドベースで構成されているんですよね。その共生いうか調和というか、古いものと新しいもので形取っていくっていうのがかっこよさだと感じていて。ネオロカビリーの発祥はこのピュアロカビリーっていうジャンルになってくるんだけど、ピュアロカビリーにちょっとポップな感じが入って近代的になってくるのがネオロカビリー。で、ネオロカビリーとピュアロカビリーの(アツく語りすぎて動作が大きくなる社長)……ゴメンね、なんか。アッハッハハハ。そのふたつの、あいだくらいがすごい好きなんです。この辺(The ROVER Boys・写真上段右)のバンドがそうですね。

———これらのレコードはどうやって集めたんですか?
レコードを集めだしたのは高校生くらいからですね。木更津の隣の君津市に、オヤジがひとりでやってる中古レコード屋があって、そこに通ってました。最初のうちは「お前若ぇのに珍しいな」みたいな目で見られてたんですけど、コンスタントに通ってると、そのオヤジが仕入れを俺に合わせてくるんですよ(笑)。

——寄せてくる(笑)!
そう! 寄せてくるんです、上客になっていくとね(笑)。そこで「こんなのいいぞ、あんなのいいぞ」って勧められたりして。そのお店でピクチャーレコードに出会ったり。

エルヴィス・プレスリーのピクチャーレコード

プレスリーが所属していたサンレコードのものを買い求めていったり。……これがサンレコードのものなんですけど、一回も針落としてないもんね。

写真中段左、下段左の赤と青のジャケットがサンレコードのもの

———えっ!? せっかく買ったのに聴いてないんですか?
これは俺の将来の夢で取っておいてあるんです。高価なプレイヤーや真空管のアンプを揃えて、それで聴きたいんです。俺は音響マニアでもレコードマニアでもないんだけど、当時の音をその揺らぎのまんまに聴いてみたい! それが俺の夢なんですよ。

———アツいです……。その夢はいつぐらいに実現しそうなんですか?
事業が成功したらですよ! ハッハッハッハッハ! やっぱりねぇ、スピーカーやアンプマニアの世界も、勉強しないとどれがより良いのかわからないんですよ。でも今の俺はその勉強をしてる暇はなくて、俺の命を燃やすところって言ったら仕事を突き詰めていくことなんですよね。だからねぇ、もともとは……あっこれ俺、仕事の話しちゃっていいの!?

———もちろんですよ(笑)! 仕事のお話も教えて下さい!
とにかく人と違うことや尖ったこと、差別化するのが大好きだから、誰もやったことのない“液体を燻製する”っていうのをやってるんです。それで最初に燻製醤油っていうものを5年くらいかけて作って。前例のないことだからもちろん難しかったんですけど、俺の得意技は“諦めない”ことなんで(笑)、毎日研究して開発して、商品を作ったら今度は特許が取れたんです。特許を取った途端ほかの会社が一斉に燻製醤油を発売して、真似をされたりもしました。でも追いかける人間より追いかけられる人間のほうが先に行くわけですから、「誰にもできないことに特化していこう」と考えた結果が“油”だったんです。「液体(燻製醤油)の次は油を燻製することに特化しよう、自分たちの技術がどれほどのものなのか世の中に見せつけないと!」と思って研究を重ねて生み出したのが燻製オリーブオイル、そして燻製マヨネーズっていう商品なんです。

———そうやって何かを突き詰めていく姿勢にもやはりロカビリーの影響が?
そうですね。クリームソーダでファッションから興味を持ったっていうのもあるけど、さっきも言ったようにロカビリーを知れば知るほどファッション性よりも音楽性や精神性に惹かれていって。ウッドベースのスラッピング奏法だったり、ヒーカップっていうしゃくり上げたような歌い方だったり、ロカビリーならではの奏法や歌唱法がしっかりと確立してて、ジャンルがハッキリしてること。そういう尖ったところが潔い感じがするし、白人音楽と黒人音楽の融合っていう精神性も含めて自分のなかで一番ピタッときてますね。

———燻製の世界でも独自の路線を突き詰めている社長ですが、今後の目標などはあるんですか?
今は燻製の香りを数値化して品質管理をよりやりやすくするために、大学との共同開発も始めてるんです。“燻製の香りを数値化する”っていうことをまだ世界でやってる人がいないから、俺が世界で最初にやりたい。燻製のマヨネーズも世界で俺たちのもの一個しかないんですよ。だからこれからは“燻製”をどんどん突き詰めていって、スモーカーとしてナンバーワンになりたい……(ハッとした表情で)俺、今スモーカーって初めて言ったわ!

———今すごくかっこよかったです!
燻製屋じゃなくてスモーカーって言った方がかっこいいよね(笑)。今後は世界で一番のスモーカーになりたい。それが目標ですね!

大好きなロカビリー、そして仕事に対してアツい姿勢を保ち、自らが研究する燻製の世界でナンバーワン(!)になることを高らかに宣言してくれた社長。そんな社長率いる燻製調味料のパイオニア・かずさスモークでは前述の燻製醤油や燻製オリーブオイル、燻製マヨネーズなど香り豊かな調味料が発売中。実際に燻製マヨネーズも試食させていただいたのですが、口のなかに入れた途端に燻製の香ばしい味が広がってアメイジング……超美味しかったですっ。野菜そのものにディップしても、魚料理や肉料理にかけても合いそうな燻製調味料は料理の可能性を広げてくれて、社長のロカビリー精神や愛情が感じられる商品。気になった方はぜひ味わってみてはいかがでしょう!? 社長、今回はありがとうございました!

左から200年以上の歴史をもつ醤人(ひしおびと)と呼ばれる職人の伝統技術とかずさスモークの最新燻製技術によって生まれた『燻製しょうゆ』、食材の持つ素材の味を変えずに美しい燻香を付けわずか数滴でお料理の表情をがらりと変化させる『燻製オリーブオイル』
食材や料理に「かけるだけ」「混ぜるだけ」で一瞬にして燻製風味に変化する『燻マヨ』

プロフィール

いちかわまさひで●1970年4月22日生まれ。千葉県木更津市出身。飲食店"山麓"の次男として生まれる。国立木更津工業高等専門学校機械工学科に在学中、燻製調理を趣味とする。2000年7月、実家の飲食店・清見台サンロク店主になり千葉県ブランド豚の燻製料理を中心にしたメニュー作りを展開。2002年11月、液体燻製の研究に着手。同時に「燻製調味料製造装置」研究を始める。2005年9月、燻製オリーブ油を使用したメニューを初提供。2011年7月、特許第4783463号「液体を燻煙する方法及びその装置」を取得。2012年5月、経営革新計画「燻製液の製造及び販売」が承認される。2013年4月、地元木更津市観光協会推奨土産品となる。2014年12月、株式会社リオ設立。2015年10月、第1回ちば起業家応援事業 千葉県知事賞 受賞。同ITECメンタークラブ賞 受賞。現在に至る。

[榊ピアノ]