やっぱりすさまじかったBABYMETAL〜平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)のサマソニレポート【2日目】
BABYMETAL、21時以降の埼京線くらい混雑してる
そして舞台は再びメッセへ。マウンテンステージへ行くとすでに会場は超満員。21時以降の埼京線下り方面くらい混雑している。意外だったのは男ファンが多いことはわかっていたが、そのなかでもさまざまなタイプが混同しているということ。見るからにアイドルファン的な人もいれば、それ以上にそもそもヘヴィメタルファンであろうおっさんが多い。またどちらかというとパンクスっぽい見た目のアニキもいればごく普通の好青年やサラリーマン、ファラオさんなんかもいる。BABYMETALはいまだに賛否の多い存在ではあるはずだが、ここにいる人たちのように柔軟な感性をもっている人もどんどん増えてきているのだろう。それは彼女らのがんばりが功を奏しているということだと思う。
そもそも僕がBABTMETALをまともに知るきっかけになったのは2017年のガンズ・アンド・ローゼズ来日の際のサポートアクトとして彼女らが登場したときだった。頭の固いファンも少なくないメタラーの前で、そんなアウェイの空気を吹きとばすような堂々としたパフォーマンス。まだ10代の若い女の子がこんな厳しい状況のなかでがんばっている。それを観て僕は大いに感動してしまったのだ。ピューロランドでキャラクターのショーを観ているときの感覚に近いものがある。と同時に己の歳を感じて若干凹んだのも覚えている。しかし実際に彼女らはすごかった。ボーカルがあんなに歌える子だというのも知らなかったし、楽曲もいい曲ばかりだった。
今日、あれからおよそ2年半ぶりにBABYMETALを生で観ることになる。この2年半の間に彼女らにもいろいろあり、メンバーのひとりで人気も高かったYUIMETALが脱退するなどの波乱にも見舞われたが、それも乗り越えた今の彼女らは一体どのようなライブを観せてくれるのか。
圧倒的なSU-METALの歌声
19時。BABYMETALの登場である。まずは彼女らのライブでは恒例となっている仰々しいナレーションから。「前前前世はこっちじゃないぞ」がウケていた。ナレーションで笑いを取りにいくスタイル。そして「首の準備はできているか?」で一気に観客の士気を高める。大歓声鳴り響くなか、名曲『メギツネ』で幕を開ける。メンバーは3人。脱退したYUIMETALの穴を埋めるのは元モーニング娘。の鞘師里保。新メンバーというわけではなくサポートメンバーとしての参加のようだ。しかしあの激しい動きによくついていけている。
それにしてもやはり圧巻なのはボーカルSU-METALの声。爆音のメタルサウンドにも負けない声量をあの細い体から出せていること自体もすごいが、とにかく彼女の声はひたすら真っ直ぐに心に届く。ビブラートなどの細かい技術を使わないところもその一因だろうが、ある種年齢以上に幼い子どものような純粋さを感じる。「大きな声で、しっかりと音程を取る」。そんな歌の基礎的な部分を誰よりもちゃんとやっている子なのかもしれない。
セットリストは新曲も何曲か交えつつ『ギミチョコ!!』や『KARATE』などの定番曲も披露する流れで、時たま入る観客とのコール&レスポンスももはや慣れた感じで安定感すら感じさせる。『イジメ、ダメ、ゼッタイ』をやらなかったのは意外だが、もはやそれにも代わる名曲を多く生み出しているからこその自信の表れとも取れる。個人的には『ヤバッ!』が観られてよかった。
時間にして約1時間。もっともっと観たいと思わせる素晴らしいライブだった。まだまだ認めたくないという人も多いかもしれないが、ヘヴィメタルが今一度市民権を得るためには彼女らの力は確実に必要である。ならばやはり早いうちに体感しておいたほうがいい。
というわけでBABYMETALも観られて大満足の僕であったが、正直言ってやはり体は相当しんどい。しかも明日もまたメッセで昼間にお笑いコーナーでネタを2度披露したあと、レポートを再開しなければならない。レッチリは観たい。観たいのだが、マリンステージに移動するのがかなりだるい。
というわけで悩んだ末渋々レッチリは諦め、ひとまずこの日は帰ることにした。帰りの電車、僕は爆睡しすぎて思いっきり乗り過ごした。ネスギ、ダメ、ゼッタイ。
3日目(9月7日公開)に続く。