『たのしいドルヲタ図鑑』9人目:個性派ドルヲタ夫婦・もてちさん&ゆうぎ王

連載・コラム

[2016/6/23 12:00]

9人目:個性派ドルヲタ夫婦・もてちさん&ゆうぎ王

今や日本中、いや世界中に生息するドルヲタ(アイドルヲタク)たち。本連載では、そんなドルヲタのなかでも特にエッジが効いた個性的な人々を紹介していく。今回紹介するのは、さくら学院と同グループの卒業生・武藤彩未を献身的に応援する夫婦のもてちさんとゆうぎ王。DJやバンド・アイドル活動も行っているおふたりに、夫婦でアイドルを応援している楽しい日常についてお伺いした。(王は敬称のため今回はゆうぎ王に“さん”は付けずに呼ぶ)

ゆうぎ王・もてちさん

    名前ゆうぎ王(写真左)
    年齢永遠の20歳(キン肉スグルと同い年)
    出身地高知県(広末涼子、DJ KAORIと同郷)
    星座おひつじ座
    血液型AB型
    趣味お茶を飲むこと
    現在の本現場武藤彩未、さくら学院 (箱推し)
    属性現場系ヲタ
    鑑賞スタイル現場の雰囲気に合わせて盛り上がる
    名前もてち(写真右)
    年齢35歳(元モーニング娘。の保田圭と同い年)
    出身地茨城県(武藤彩未と同郷)
    星座やぎ座
    血液型O型
    趣味おしゃれ
    現在の本現場武藤彩未、さくら学院(吉田爽葉香推し)
    属性現場系ヲタ、楽曲派
    鑑賞スタイル現場の雰囲気に合わせて盛り上がる

    [本現場(ほんげんば)……メインで行っているライブ(現場)、大切なライブのこと]
    [推し……“イチ推しメンバー”の略で、グループ内で特にひいきして応援しているメンバーのこと]
    [※箱推し……グループ全体を応援すること]
    [※現場系……現場(ライブやイベント)に積極的に通うヲタクのこと]

    アイドル現場の最前列で出会ったふたり

    写真を見ておわかりのとおり、おしゃれで洗練されたおふたり。ふたりそろってドルヲタという素敵な夫婦だ。夫・もてちさんは篠原ともえやPerfumeをきっかけに、妻・ゆうぎ王はアイドルユニットtoutouをきっかけにアイドルヲタになったそう。そんなふたりは2007年頃、アイドルユニットCutie Paiの現場の最前列で運命的な出会いを果たした。(以下、青字がもてちさんの発言、赤字がゆうぎ王の発言)「Cutie Paiの現場で共通の知り合いに連れて来られたゆうぎ王と最前列で出会ったのが最初です(笑)。第一印象は “コスプレした変な奴がいるぞ”みたいな」「もてちも最前列にいるしデカいから目立ってて、お互い印象がよくなかったんです(笑)」第一印象が良くなかったというふたりだが、その後ドルヲタ友達として仲良くなり交際に発展、5年のお付き合いを経て結婚にいたったそうだ。

    眼鏡のフレームひとつとってもおしゃれなおふたり
    ゆうぎ王はtoutouのTシャツを着て来てくれた


    もてちさんはDJ、ゆうぎ王はバンドや地下アイドルとしても活動

    ふたりはドルヲタをしながらも、アイドルに影響を受けて自身で表現活動も行っている。もてちさんはDJ、ゆうぎ王は地下アイドルやバンド、マリグナント・カンパニーのボーカルとしても活動。ヲタクとしてアイドルを応援していたゆうぎ王だが、自分がアイドルになってみて感じたことは?「いろいろありますねぇ……お客さんに真顔で見られると辛いんだなってこととか(笑)! 狭いライブハウスとかだと本当に後ろの方の表情まで見えて、笑顔で楽しんでくれる人にはレス(※)を返しやすいんですけど、真顔だと返しづらいんですよね(笑)、自分がヲタクだから逆の立場になって初めて“だから私はレスが来ないんだ”とか、客としての振るまいの面でも勉強になりましたね(笑)」もてちさんもDJ時はフロアに対してそんな気持ちに?「僕は気持ちは強い方なんで(笑)。ちゃんとフロアを見て雰囲気に応じた曲をかけなければいけないとは思ってるんですけど、何よりも“アイドルが好きだ”っていう気持ちをDJで表現しようと思っていて。結構自分で楽しむということを重要視しちゃってますね。そうするとギャルが逃げてゲイが寄ってきて「選曲がまるでゲイね」と言われたりするんですけど……(笑)」

    [※レス……レスポンスの略。ライブやイベントで、演者に手を振ってもらったり声かけに反応してもらうこと]

    DJ中のもてちさん
    ライブ中のゆうぎ王(写真右)
    ライブ中のゆうぎ王(写真左)
    ゆうぎ王の地下アイドルとしての活動作品。左のCD『湿気ガール』のブックレットは漫画付きだったりと、細部まで凝られている

    夫婦の推しである武藤彩未とは?

    そんなふたりがこれまで共通してずっと応援しているのは、さくら学院と武藤彩未だそう。さくら学院は中学の卒業と同時にメンバーが卒業する“成長期限定ユニット”で、BABYMETALメンバーをも輩出。武藤は8歳の頃からキッズモデルや漫画雑誌『ちゃお』のCMモデルとして活動。2008年、アニメ『絶対可憐チルドレン』(テレビ東京系)の放送に合わせて1年間限定で結成されたアイドルユニット・可憐Girl’sのメンバーに。その後、2010年から2012年までさくら学院の初代生徒会長を務め、2013年よりソロで活動し、2015年12月から現在まで活動を休止している。ふたりは武藤が小学生の頃から現在にいたるまで献身的に応援し続けている。彼女には一体どんな魅力があるのだろうか?「彩未ちゃんって基本的にはすごいストイックで、歌もダンスもがんばってるし見せ方とかもすごい気にしてるしすごいなぁと思うんですけど……なんかちょっと抜けてるというか、おばちゃんくさいというか(笑)、そういうところがあって。そこが魅力なのかなぁって思います。完璧すぎなくて真面目なんだけど抜けてるっていうところが可愛らしくて」「私は彩未ちゃんが小学生の頃に出演していた『ちゃお』のCMで最初に観た印象が今も忘れられなくて。声の圧がすごくて(笑)、15秒くらいの短いCMなのにとにかく印象に残ってたんです。オーラっていうものがあるとしたらこういう感じなのかなって。歌やダンスが上手いとかだったら一番かはわからないけど、存在感みたいなところが特別なんじゃないかなって思ってます。漫画の主人公が持ってる特殊能力みたいな……ヒロインポイント?があるような。ほかの人と違う……何が違うかは具体的に言葉じゃわからないんですけど、特別な感じで輝いて見えて、そういうところに惹かれてるのかなって」

    さくら学院の定番グッズであるフラッグと、モノコムサとさくら学院がコラボで販売していたリコーダーケース。リコーダーケースはフラッグ入れとして使用しているそうだ
    リコーダーケースに付いているボタンはさくら学院の制服に付いているボタンと同じデザイン
    おしゃれなもてちさんはこのボタン(さくら学院のデビューシングル『夢に向かって』の購入特典)をジャケットに付けてアレンジしている!


    夫婦の後悔……「“任務完了スペシャルイベント”に行けなかった」

    彩未ちゃんを応援しているなかで心に残っていることを聞いてみたが、ともに悔しい出来事があったようだ。「可憐Girl’sの最後のイベント『任務完了スペシャルイベント』(2009年)に行けなかったこと……。今はなき渋谷のBOXXっていうライブハウスで行われた、アルバム購入者のなかから抽選で入れるイベントだったんですけど、当選しなくて……」「僕も行けなくて、行けなかったことが自分的にすごい悲しかったから、その日の夜にあった『Perfume Night』というイベントでDJをしたときに、自分の持ち時間を全部可憐Girl’sの曲しかかけなかったっていう。でも可憐Girl’sの持ち曲って7曲くらいしかないから、何回も同じ曲を流してヲタクに“いい加減にしろ”って言われました(笑)」「『任務完了スペシャルイベント』に行けなかったことが今までのヲタク人生のなかで一番後悔してることかもしれません……ハァ……本当に忘れられないですねぇ」心に残っているのが悲しい思い出とは、意外だ。「彩未ちゃんに会ってるときはすべてが楽しい思い出だから、逆に悲しいことが印象的なのかもしれません」現在武藤は活動休止中だが、もてちさんは彼女の歌をずっと健康で聴き続けていられるために最近はジム通いに励んでいるそうだ。これまで長い間ずっと応援してきたふたりは、活動再開を急かす想いなどはなく “彩未ちゃんが元気で幸せにいれる道を選んでほしい”と感じているそう。これこそが“無償の愛”(アガペー)なのではないかと感じた。

    [耳マン編集部]