アイドルと高校サッカーに青春を感じる かっつんさん【たのしいドルヲタ図鑑・10人目】

連載・コラム

[2016/8/31 17:00]

10人目:アイドルと高校サッカーに青春を感じる かっつんさん

今や日本中、いや世界中に生息するドルヲタ(アイドルヲタク)たち。本連載では、そんなドルヲタのなかでも特にエッジが効いた個性的な人々を紹介していく。今回紹介するのは、アイドルや高校サッカーから感じる青春の息吹に想いを馳せながら、さわやかにドルヲタ活動を行うかっつんさん。今回は近年多くみられるアイドルグループのメンバー脱退や解散についてもリアルな声を聞かせてもらった。

かっつんさん

    名前かっつん
    年齢28歳(元モーニング娘。加護亜依、辻希美と同い年)
    出身地岩手県
    星座おとめ座
    血液型O型
    趣味スポーツ観戦
    現在の本現場アイドルネッサンス(石野理子推し)、amiinA、963
    属性現場系ヲタ
    鑑賞スタイル現場の空気感や音に合わせて乗る

    [本現場(ほんげんば)……メインで行っているライブ(現場)、大切なライブのこと]
    [推し……“イチ推しメンバー”の略で、グループ内で特にひいきして応援しているメンバーのこと]
    [※現場系……現場(ライブやイベント)に積極的に通うヲタクのこと]


    岩手県出身・吹奏楽部・隠れハロヲタだった思春期

    かっつんさんは岩手県出身、28歳の会社員。今回は白を基調としたオシャレな自宅にお伺いし取材を行った。Tシャツと短パンという夏の装いのかっつんさんは「普段はもっと散らかってるんですけど、頑張って片付けました」とはにかみながら自室へ迎え入れてくれた。そんな彼は小学生の頃にテレビ番組『うたばん』を観たことがきっかけでモーニング娘。に興味を持ったそうだ。「辻・加護と同い年っていうこともあって、まずあのふたりに目がいきましたね。自由だし、可愛いし、同い年にこんなスターがいるなんてすごいなって思いました。それで、中学1年のときにモーニング娘。のファンクラブにコッソリ入会したんです。当時はアイドルが好きなことを人に知られるのが恥ずかしくて、家族にはもちろん同級生にも言えませんでしたね。これは岩手に限らず地方だとどこでもそうなのかもしれないですけど、まわりと違ったり特別だったりすることに対して“異質”な扱いを受けることがあると思うんです。例えば自分の親戚は男が多いうえに体育会系の家系なんですけど、僕は自分でスポーツをやるよりは観る方が好きで、中学での部活も吹奏楽部に入ってたんですね。それって今考えると全然普通だと思うんですけど、“なんで運動部に入らないんだ”って言われたり、文化部に入ることが物珍しくみられるぐらいの環境だったので、アイドルが好きっていうことなんて尚更まわりに言えなかったんです……」。

    かっつんさんの日常的な姿
    アイドル雑誌を眺めるかっつんさん。最近は欅坂46が気になっているそう


    純粋すぎて泣けるエピソード〜苦労して注文した『MIKI1』〜

    モーニング娘。がテレビに出ているのを観て楽しんだり、コッソリとファンクラブに入るなどして、隠れキリシタンならぬ隠れドルヲタンだったかっつんさん。そんな彼が初めてCDを買ったときのエピソードは何とも純粋なものだった。「初めて自分のお小遣いを貯めて買ったCDは藤本美貴のファーストアルバム『MIKI1』(2003年)です。これを買うのもすごく大変でした。地元がものすごい田舎なので、そもそも近所のCD屋さんに『MIKI1』を置いてなかったんですよ……。今みたいにAmazonとか楽天とかがあるわけじゃないんで、当然そのCD屋さんに注文するしかないのに、そのお店もうちのおばあちゃんがよく利用していたんで店員さんも顔見知りで、“かっつんさんちの二番目のお兄ちゃんね”っていう感じで顔バレしてて(笑)。“注文したことが家族や親戚にバレて、アイドルが好きなことを知られたらどうしよう……”とかいろんな葛藤があって一週間悩んだんですけど、いろんな障害を乗り越えてでもやっぱり欲しくて、勇気を出して注文したんです! そしたら“一ヶ月かかります”って言われて(笑)! “そんなバカな!”って思ったんですけど、“一ヶ月かかってもいいから欲しい”と思い、注文しました。今考えると、CD一枚買うのにすごいモチベーションだなぁって思いますよ。あの頃の情熱たるや、振り返ると我ながらちょっと泣きそうになりますね……」。そんな思い出のアルバム『MIKI1』をかっつんさんは上京後もiTunesにてダウンロードし、今でも大切に聴いているそうだ(現代的!)。

    【ドルヲタの部屋あるある】アイドルグッズがとても自然に部屋に溶け込んでいる


    上京し現場系ヲタに「世の中にはこんなにもたくさんのアイドルヲタがいるんだ」

    そんなかっつんさんは2010年に上京。都内ではさまざまなアイドルが各所でフリーライブやイベントを行っていることもあり、彼はその流れでアイドル現場に頻繁に足を運ぶようになる。一時期は一年で250から300ほどの現場に行っていたそう。「実は上京前にアイドルからは一度離れまして……。最初は友達の付き添いで現場に行き始めてたんですが、だんだんとアイドル現場に行くのが楽しくなってきて、2012年頃から本格的にアイドル現場に通うようになりました。似ている趣味の友達もたくさんできて、“世の中にはこんなにもたくさんのアイドルヲタがいるんだ”ということがわかり、まわりにもカミングアウトできるようになりました。まぁあの、世の中というよりは自分のまわりに極度なアイドル好きが多く集まってしまっただけだと思うんですけどね(笑)」。今は会社の上司や同僚にもドルヲタだということが知られているそうだ。「2015年の夏に僕が推しているアイドルネッサンスというグループが6日間かけて関東6県をめぐってライブをするっていう企画をやっていて、それに全通(※)するために4日連続で午後休をとらせてもらったりもしました(笑)。職場の人からは、休み明けに“昨日はどこ行ったの?”とかいじられたりしています(笑)」。

    [※全通……ツアーなどで行われているすべての公演に行くこと]

    現場系ヲタになり、自然とチェキやCDの枚数も増えていったそう


    サッカー観戦も趣味 スター選手をアイドルに例えると?

    アイドル鑑賞とともにサッカー観戦も趣味のかっつんさん。サッカーで特に好きなのはU-15やU-18などの若い世代だそう。「アイドルと一緒でサッカーも若い世代が成長する過程をみるのがとてもおもしろくて好きです。この年代は個々のプレイの特徴や成長がわかりやすいんですよね。戦術をガチガチに固めてないので突拍子もないプレイをしたりだとか、気性が荒い子はやっぱりプレイも荒々しかったり、そういう個人のキャラクターがわかりやすいところもおもしろいんです」。サッカーでの推しメンはいるのだろうか?「FC東京U-18の久保建英くんですね。その界隈では有名な選手なんですけど、スペインのバルセロナっていう有名チームにスカウトされて小学生のうちから現地でプレイしていたというすごい子で。向こうでもエースの10番で期待されてたんですけど、未成年の国際移籍のゴタゴタがあったりして昨年帰国して、それからはFC東京で活躍してるんですね。そんな選手のプレイを初めて生で観たときは本当に衝撃でした。久保くんはまだ中学3年生なんですけど飛び級で高校生の試合に出てて、その年代で2、3歳の歳の差って結構違うはずなのに、年上の選手にも簡単にドリブルで抜いていって……久保くんの一挙一動で歓声が上がるくらい盛り上がりましたね。それくらい実力もスター性もある選手なので、きっと彼はまた海外に行くんじゃないかと。だからそれまでに、もっとたくさん彼のプレイを観ておきたいです」。そんな久保選手をアイドルに例えると?「難しいっすねぇ……でも、あの若さで世界で活躍してるっていう意味では、BABYMETALなんでしょうね。しっくりくるのは、うん」。

    [耳マン編集部]