音楽の都市伝説:幽霊指揮者の怪
『月刊ムー』でも執筆するライター長田遊馬氏が音楽にまつわる都市伝説に迫る!
『指揮者に関する都市伝説』
アニメやコミック、そして実写映画化もされた『のだめカンタービレ』。流行したのは今から数年前ぐらいのことであろうか。当時は同作に触発された若者が急増し、小さなクラッシクブームが起きた。クラシックとは、それまで格調の高いイメージだっが『のだめカンタービレ』の影響でぐんぐんCDの売り上げが伸びたという。
主人公・野田恵(のだめ)が恋するのは、指揮者を目指す音大生・千秋。作品の中でも指揮者が魅力的に描かれており、曲ばかりでなく、指揮者にも注目が集まったそうだ。
そんな指揮者に関する都市伝説がある。「幽霊指揮者」である。著名な作家・赤川次郎の小説に『幽霊指揮者(ルビ:コンダクター)』という作品があるが、これとはまったくの別物だ。小説のほうは、女子大生・永井夕子と宇野警部の『幽霊シリーズ』の中の1作で、ある曲を演奏しようとすると、祟りが起こるという事件を解明するというストーリーだ。
だが、都市伝説の「幽霊指揮者」は“現実に存在しない人物が指揮をしている”というものである。簡単に説明すると、“実在しない指揮者がクレジットされたCD”が存在しているのだ。それを=幽霊指揮者と呼んでいる。
実は、これには大きなカラクリがある。香港のクラシック音楽系レーベルNAXOSなどのホームページに、こんな記事が掲載された。指揮者でもありプロデューサーでもあるアルフレッド・ショルツ氏が、衝撃のカミングアウトをした。
「オーストラリア放送の放送録音を大量に買い、これに自分の名前や架空の人物・オーケストの名前を付けて売った」
つまり、CD用にきちんとレコーディングしたものではなく、テレビやラジオ用に録音された音源を勝手にCD化し、適当なクレジットを入れて販売したというのだ。いわゆる海賊盤のはしりだろう。驚くべきは指揮者のほかに「幽霊オーケストラ」までいたことであるが……。
これでは、単なる裏話に過ぎない。だが、中には事情があってあえて架空の表記にせざるをえない“何か”があったというCDも存在するという。それには、聴いた者を死に追いやるとか、狂気させるとか、さまざまな噂がある。
以前にもお伝えしたが、ロック、HR/HMだけではなく。悪魔の手はすでにクラッシク界にも及んでいる。十分に気を付けていただきたい。
【著者紹介】
長田遊馬
東京都出身。超常現象研究家の新星。幼少のころからUFOや超常現象に造詣が深く、オカルト界の重鎮・並木伸一郎を師と仰いでいる。専門誌「月刊ムー」でもUFO、UMA、超常現象に関する記事を執筆している。好きな音楽はヘヴィメタル。超常現象を研究するかたわら、『地獄のメカニカルトレーニングフレーズ』(リットーミュージック刊)を片手に、日夜スウィープ奏法を練習中。