【掟ポルシェの食尽族】第3回:未来永劫死ぬまで通う飲食店

連載・コラム

[2019/9/3 12:00]

悪魔的なまでに美味しい 『うどん?』で絶対食べるべき一品

 では、4の5の言わんと『うどん?』でこれは絶対食べるべき! という一品をご紹介していきましょう。
 まず、先述しましたように、常連さんのほとんどが注文する季節の夜かれーです。これさえ注文しとけば間違いありません。季節によって使用具材が変わり、これを1年通して全制覇したら、もうあなたは立派な『うどん?』マニアです。特におすすめを挙げるとすれば、なんといっても12~2月限定の“冬の夜かれー”です(現在真逆の季節であることを激しく無視して)。

写真はスパイシー挽肉+チーズトッピング

 『うどん?』のカレーはサラサラのスープ状ではあるものの、北海道のスープカレーとは味も食べ方の作法も異なります。生牡蠣の入ったスープカレーは、札幌の有名スープカレー店などでも冬の限定商品で出されていることがありますが、マスターが『うどん?』ホームページで書かれているように、スパイスと油を極力抑え、カレーと牡蠣というどちらも存在感の強い味をこれ以上ない均衡でさっぱりと整えていて、『うどん?』マスターの手腕に唸ります。生牡蠣の臭みを消す企業秘密を施し、カレーと生牡蠣という旨味の足し算の最適解をはじき出すことに成功している、まさに奇跡的にして刺激的な俺にはこれしかない!という珠玉の一杯なのです。これしかないの! もう!
 私事ですが、人生で一度だけ痛風になったことがありまして。それは3月になってしまい冬の夜かれーがもうあと10ヶ月ぐらい食べられないんじゃん!というとき。だったら、家で生牡蠣の入ったスープカレー自分で作って食うぞ!と『うどん?』のカレーの味を舌の記憶でなんとか解析。鶏ガラと野菜で出汁をとり、スパイスを入れてサラサラカレーを作成、生牡蠣を何パックも買ってきてガンガン入れてガンガン試食し、「あの味に近づけるためには何が必要だ!?」と研究に研究を重ね、自分の体を実験台に異常な量を食べ続けた結果……ある日気がついたら左足の中指の骨が折れたように痛い。なんだこれは!?と症状をネットで検索したら「痛風」になっていたと……。1ヶ月の食事療法ですぐに治った程度の急性痛風でしたが、それぐらい、いつ何時でも食べたいほど、『うどん?』の冬の夜かれーは悪魔的なまでに美味しかったのです。いや、絶対骨折だと思ったあれは。

 『うどん?』には“年間プレミアム”というオプションメニューがあり、季節の夜かれーをさらに進化させたグレートすぎるやつが存在。『うどん?』マニアたちを飽きさせない努力を怠りません。特にヤバイのが、冬の夜かれーの12月プレミアムである“オイスターゴッド”。

冬の夜かれー オイスターゴッド。写真はスープとライス両方大盛り

 これは、メタル愛好家でもある『うどん?』マスターがメタルゴッドことジューダス・プリーストをイメージし作ったトゥーマッチな魅力満載の1杯! 通常の生牡蠣4個入った冬の夜かれーに加え、ご飯の上にチーズと『うどん?』特製のスパイシー挽肉とさらに生牡蠣6個を絡めた過剰なトッピングがドーン! 濃厚かつラウドな牡蠣とチーズとスパイスのハーモニクスが冬の夜かれーを爆発する『うどん?』ネクストステージへ押し上げる! 『うどん?』の通常のカレーがお味噌汁とご飯だとするなら、これはマスターいわく、「中華丼にラーメンスープが付いてる感じ?」だそうです! どちらかというと上品で繊細な味が売りの『うどん?』にあって、これは年末特別破壊力サービスカレーであり、寒くて苦手な師走が来るのが俄然楽しみになってくるうどん?風物詩なのです。
 このほかにも、『うどん?』では季節の夜かれーに新ラインナップが登場し、食べてみるまで「一体どんな味なんだ!?」と興味そそりまくり、実際食べてみてその未曾有の刺激と中毒性にドハマリなのです。鶏のもも肉を焼いたもの+焼きトマトの上にクリームチーズ(!)が乗った幸せすぎる組み合わせの7月限定“真夏のスリランカ”、粗挽き肉+半熟卵に加え、粗みじん切りにしたピクルス(!!)の酸味がたまらない11月限定“黄昏のロシアン」”などなど。もうね、全部食べて! いや、ハマったらほっといても季節の夜かれー全種食べたくなりますから。身のまわりにも週何回も『うどん?』に通う中毒者が続出しております。ぜひ。

 1点だけ付け加えておきますと、『うどん?』は、基本的に取材お断りの店です。過去にいくつか取材を受けた結果、テレビ・ラジオ・雑誌の取材は基本NGとなっております。……ですが、大ファンであるという石野真子さんがレポーターとしていらっしゃる場合だけは別! 過去に2度ほど石野真子さんがテレビ番組の取材でお店にやってきて美味しいカレーを召し上がって食レポされています! 真子さんが来るんじゃあしょうがない! そして、4月限定“春の夜かれー”(セロリ・アスパラ・ホタテ貝柱・ししとう・鶏挽肉! こちらも爽やかな美味しさで、初心者の『うどん?』初体験に最適すぎる!)では、石野真子さんの名曲『春ラ!ラ!ラ!』の歌詞にあるように、3人揃って来店し3人揃って春の夜かれーを注文すると、店内で『春ラ!ラ!ラ!』が聴けるという謎のサービスが受けられます! 理由を聞いてもよくわからないマジックポイントが至るところに! ああ~ん、もう抱いて!って感じ! これだから、『うどん?』に通ってしまうのです。

この文面を書くにあたり、『うどん?』のマスターに特別に許可をもらってやっております。この店だけは行けなくなったら本当に困る。写真はばじるぽーく。煮込まれて旨味が出た豚肉にさっと焼いたナス、スープに焦がしバジルが効いたシンプルな旨さの基本メニュー。ああああまた食べに行きたくなってきた(泣)

ロマンポルシェ。東名阪ツアー! 『男の22周年ハンパしちゃってごめんツアーTOU・MEI・HAN』

11月16日(土)東京都 下北沢SHELTER
https://eplus.jp/sf/detail/3070980001-P0030001P021001

11月29日(金)愛知県 HUCK FINN
https://eplus.jp/sf/detail/3071000001-P0030001P021001

11月30日(土)大阪府 Socore Factory
https://eplus.jp/sf/detail/3071010001-P0030001P021001

掟ポルシェ

おきてぽるしぇ●1968年北海道生まれ。1997年、男気啓蒙ニューウェイヴバンド、ロマンポルシェ。のボーカル&説教担当としてデビュー、これまで『盗んだバイクで天城越え』ほか、8枚のCDをリリース。音楽活動のほかに男の曲がった価値観を力業で文章化したコラムも執筆し、雑誌連載も『TV Bros.』、『別冊少年チャンピオン』など多数。著書に『説教番長 どなりつけハンター』(文芸春秋社)、『男道コーチ屋稼業』(マガジン・ファイブ)、『出し逃げ』(おおかみ書房)、『男の!ヤバすぎバイト列伝』(リットーミュージック)、『豪傑っぽいの好き』(ガイドワークス)がある。そのほか、俳優、声優、DJなど活動は多岐にわたるが、ここ数年はアイドル関連の仕事も多く、イベントの司会や楽曲のリミックスも手がける。