ベン・ハーパーの新譜ジャケ弁から考える“文字と食材の関係”〜オバッチの『ロックな食生活』【第10回】

連載・コラム

[2016/4/12 13:31]

『待つことに定評のあるオバッチ』
「オバッチってさぁ、好きなミュージシャン待つの得意だよね?」と友人に言われたことがあります。確かにザック・デ・ラ・ロッチャ(レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン)、岡村(靖幸)ちゃん、トレント・レズナー(ナイン・インチ・ネイルズ)など比較的ファンを待たせることの多い人のファンです。好きで待ってるわけじゃないぞ!

そんな私がずっと待ってたバンドが再結成し、今年のフジロックにも出ちゃうことになり、そして待ってたアルバムが発売されました。お釈迦様のお誕生日に発売です!

出た!ベン・ハーパー&ジ・イノセント・クリミナルズの新譜です!

ベン・ハーパーは、自身のバンドであるジ・イノセント・クリミナルズを解散し、その後にリレントレス 7というバンドを結成。また、いろんなミュージシャンとのコラボレーションも多く、ブラインド・ボーイズ・オブ・アラバマ、チャーリー・マッスルホワイトとそれぞれアルバムを作り、別バンドのフィストフル・オブ・マーシーも結成し、さらにお母さんとアルバム出したり、常に活動してるイメージ。でもやっぱりジ・イノセント・クリミナルズのベン・ハーパーが一番良いんだよなぁ、って思ってた人は私だけではないはず! 待ってたーー!

ようーし!4月8日に発売された新譜『コール・イット・ワット・イット・イズ』のジャケ弁がんばって作るぞ!と意気込んでいましたが……あれ? 今回のジャケット、めっちゃ地味じゃん!文字だけだ!ww


『ジャケ弁の中でのフォントの重要性を考えるコーナー』
ジャケ弁を作っている中で、一番面倒で難しいのが文字の部分です。黙々とカットする行為は慣れるまでは辛いもんです。これまでにベン・ハーパーのアルバムのジャケ弁をたくさん作ってきたので、今回はそれぞれのジャケ弁と、文字に使った食材の説明をしてみようと思います。

【食材1:アルファベットパスタ】
輸入食材を売っているお店に売っているアルファベットが文字になっているパスタです。大きさが限られてしまいますが、カットしなくてすむのでお手軽。しかし大量の文字の中から必要なやつを探すのが大変。ランダムに入っているので、欲しい文字が足りない場合もあるのでご注意。

『ファイト・フォー・ユア・マインド』(1995年発売)

『ウェルカム・トゥ・ザ・クルーエル・ワールド』(1994年発売)

【食材2:ご飯ですよ】
ご飯との相性ばっちり。お箸の先につけて絵の具のように文字を書きます。作った直後は奇麗ですが、時間が経過すると、にじんだ感じになってきます。生クリームみたいに、袋に入れて書くこともできますが、難易度高めです。

『ライヴ・アット・ジ・アポロ』(2005年発売)

【食材3:焼き海苔】
焼き海苔はジャケ弁を作るのに必須アイテムです。カットしている途中に切れてしまったり、カットしたのに風で飛んでなくなったりもしますが、比較的使いやすいです。冬は乾燥で切れやすかったり、梅雨の時期は湿気で丸まったりします。ジャケ弁を作っているの焼き海苔で季節を感じることができます。

ベン・ハーパー&リレントレス7『ゼア・ウィル・ビー・ア・ライト』(2009年発売)

ベン・ハーパー&リレントレス7『Live From The Montreal International Jazz Festival』(2010年発売)

【食材4:カマボコ】
文字カットで一番使いやすいのがカマボコです。弾力もありますし、焼き海苔みたいに切れないので加工もやりやすいです。

『ギヴ・ティル・イッツ・ゴーン』(2011年発売)

【その他】
このほかに文字に使う食材は、パプリカ、卵などですね。アルバムの色に合わせて使い分けています。ただ、文字が多くて、文字が小さいととても辛いので、文字のないジャケットを選んでジャケ弁にするのもいいと思います。

『ダイアモンズ・オン・ジ・インサイド』(2003年発売)

『ザ・ウィル・トゥ・リヴ』(1997年発売)

『バーン・トゥ・シャイン』(1999年発売)

思った以上にベン・ハーパーのアルバム、いっぱい作ってましたw
弁ですしね、弁ハーパーですもんね。


『文字だけだから簡単ではないのです』
そんなわけで今回の新譜のジャケ弁を作ります。ジャケ弁作りにおいて一番の山場である文字カット、その技を披露しましょう。俺様の美技に酔いな。(←言ってみたかった)

(1)まずはアルバムにラップを巻きます。お弁当箱にご飯を入れ、その上から焼き海苔で覆います。

(2)カマボコを均等な厚みでカットします。

(3)カットしたカマボコを文字の高さに合わせて、カットします。

(4)今度は文字の横の幅に合わせて、1文字ずつ四角にカットします。

(5)四角をひとつひとつカットしていきます。ひたすらカットしていきます。

(6)全部カットしたら、先頭の文字を配置してバランスを見ます。

(7)並べたら完成です。

地味に見えますが、文字だけで構成されているジャケットをジャケ弁にするのは一苦労です。文字が大きいと作りやすいんですけどね。またバンド名やアルバム名が長いと、カットする物が多いので難しいです。

写真やイラストに目がいってしまうことも多いですが、文字もデザインの大事な要素のひとつです。ジャケ弁を作りながら、そんな事を思ってました。

今年のフジロック出演も決まったベン・ハーパー! 楽しみです!!!

【著者紹介】

オバッチ(ジャケ弁職人)
本職は印刷関係のデザイナー。料理の腕は人並み、手先は器用。好きなミュージシャンはレイジ・アゲインスト・ザ・マシーン、レッド・ホット・チリ・ペッパーズ、ナイン・インチ・ネイルズ、ベン・ハーパー、岡村靖幸など。いつかザック・デ・ラ・ロッチャさんにお弁当を食べてもらうのが夢です。

[耳マン編集部]