岡村靖幸『幸福』発売記念11人連続レビュー企画〜小出祐介(Base Ball Bear)編〜

特集・インタビュー

[2016/2/11 19:00]

岡村靖幸『幸福』をベイベな11名が連続レビュー!
岡村靖幸が1月27日にリリースしたオリジナルアルバム『幸福』の発売を記念して、耳マンでは岡村ちゃんを大特集! “11年ぶり”にかけて、岡村ちゃんをリスペクトし、愛してやまない“ベイベ”による新作レビューを11夜連続でお送りします。11人目はBase Ball Bearの小出祐介氏です。


小出祐介(Base Ball Bear)
『幸福』


まず、ジャケットの会田誠さんの絵素晴らしすぎませんか⁉︎

緑の濃い季節、晴れた休日の昼間から、家の庭園で取れた柑橘系の果物を入れた、ちょっとぬるめの風呂に娘と入る。娘がいたずらっぽく笑いながら、むいたその果物をこちらに見せてくる。

「うまくむけた!はい、どうぞー。」

「えー、食うってか(笑)」

とか、言いながら、娘越しに見える窓の外には、夏っぽい空と、向こうまで続く深緑の山々。そして、「風呂あがったら昼飯そうめんでも食いたいな」なんて思ったりしてる。

……なんて、めっちゃ幸福。

でもこの幸福像こそ、岡村さんが(少なくとも作品のなかでは)手に入れられなかったものではないでしょうか。モテたい、君に会いたい、キスしたい、抱きしめたい、愛したい。いつだって岡村さんが体現してきたのは満たされない男の子神話でした。

ダサくて情けないこれを、ポップアートとしてカッコよく鳴らした当事者として体現し続けることで、外在的に浮き彫りになっていく、在るべき『幸福』の姿。でも、年齢とともに、作品の中の孤独が哀愁の色を帯び、味になってきた今こそ、岡村さんには歌いまくってもらいたいのです。

ジャケットの中の『幸福』は夏ですが、そんな岡村さんが差し掛かった「何食っても美味い」、アーティスト人生としての秋は豊饒の季節です。今の岡村さんの歌がたくさん聴きたいです。もし、さみしいときは連絡してください。逆に岡村さんには今、めっちゃ友達がいますから。

ってか、友達増えすぎ(笑)。


【著者紹介】

小出祐介(Base Ball Bear)
1984年生まれ、東京都出身。2001年にBase Ball Bearを結成、ギター&ボーカルを務める。2014年には岡村靖幸 w 小出祐介名義でシングル『愛はおしゃれじゃない』をリリースし、収録曲の全作詞・歌唱を担当。Base Ball Bearの最新作は2015年11月リリースの『C2』。


【本企画に参加してくれた11名のベイベたち】
・榊ピアノ(耳マン研究所)【2/1 UP】
・成田大致(夏の魔物)【2/2 UP】
・天照大桃子(バンドじゃないもん!)【2/3 UP】
・澤部渡(スカート)【2/4 UP】
・本間悠子(HMV 立川)【2/5 UP】
・南Q太(漫画家)【2/6 UP】
・古森57YO優(リットーミュージック社長)【2/7 UP】
・オカモトレイジ(OKAMOTO'S)【2/8 UP】
・川本真琴【2/9 UP】
・福岡晃子(チャットモンチー)【2/10 UP】
・小出祐介(Base Ball Bear)【2/11 UP】

[耳マン編集部]